考えることがあまりに多く
1950年代とか1960年代の問屋の自転車部品カタログを見ると、ほんとうにうらやましいと思います。揃わないものはない。 実際のところ、フレームを作るラグやエンド、フォーククラウンなども選べなくなってきている。...
View Article暗闇男爵
夕暮れ時、老母の食事を作ったあと、夜の街へ部品を探しに(笑)。 「問屋のカタログに載っているからって、注文したらくるってもんでもないんですよ。」 これは最近良く聞く話。それほど、部品が揃わない場合が多い。 「◎×□の▼△ないかな?」 「1個だけあるけど、あれは自分用だからなァ。」...
View Articleウイスキーがきれたので
1000円でオーシャンのシップボトルを買いました。昔はずいぶんな高級品で、その瓶にあこがれ、今回も「ボトル目当て」でした。 封を切ってみると、一瞬ブランデーのようなフルーティーな香り。...
View Article晩年の生活の質
やっと満月期間が終りつつあります。うちの近くには救急病院があるのですが、満月期間にはじつに救急車の出動が多い。 高齢者や病弱な人にはこたえるらしい。 寒い時は心臓に負担がかかるようで、老母も「今日はちょっと心臓の具合が悪い」と2~3日前はトイレへ行くのも気を使っていました。...
View Articleいわゆるバランス感覚
今週は古いカンパのボトムブラケットを探すのに2日半費やしました。フレームを作るのが仕事か、絶版部品を探すのが仕事かわからなくなってくる。 「なんでも作る便利屋」「注文どおりに出来るユーザーメイド」こういうアルチザンが高評価を得る現代の日本というのはきわめて文化的に興味深い。世界に例があまりないと思う。...
View Articleつまりはこういうこと
これはある方が部品を送ってこられたのですが、その心情はよくわかります。カンパニョーロのクランクはじつに美しい。踏んでも踏み心地がすぐれています。変速感覚もすぐれている。「どのギアへでもズルズルはいる、最初から『伝達』よりも『隣のギアへ移ることを主眼に考えたギア』とは一味違うと私は思います。...
View Article袖振り合う縁
今はもうなくなってしまったガラス専門の店にデヴェナムと言う店がロンドンにありました。 昔、アイリッシュ・ガラスのゴブレットを見つけて、どうもプロポーションがおかしいので、その店へもって行ったことがありました。 そこは光学的にガラスのメタルを調べる機械を持っていました。ガラスの「もとのガラスそのもの」のことを「メタル」と専門用語で言うのですが、メタルの色は産地によって違います。重さも違う。...
View Article批判精神の唄痛快なり
このあいだ大島渚監督が亡くなったとき、野坂昭如氏がテレビで大島監督を殴った画像がテレビで流れていました。 その時、ああ、そういえば野坂さんも闘病中だったな、と私の好きだった彼のCM「ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか?二、二、ニーチェかサルトルか?」をどうしても聞きたくなってyoutubeで探しました。これは以下のキーワードででてきます。 * suntory gold akiyuki nosaka...
View Article「最高」の不幸
週末に自転車関係者の仲間がきまして、夜インド料理を食べに行きました。 一人1200円かそこらのものなのですが、たいそう二人とも満足できました。ものすごく美味い。もう一歩足を踏み入れた時から、日本ではない。私が行くと、必ず「まかない」のものが1品オマケでつく。チャイのおかわりにお金はとりません。スタッフは全員フレンドリーなので、じつによい雰囲気で食事ができます。...
View Article長年やっていればこそ
先週のことなど。 まあ、オールドパーツで組むというのは、じつに多くの問題をクリアーしないといけません。 古いカンパのシャフトが決定的に不足していることは書きましたが、実際のところ、ほとんど同じ外観であっても、段数が7、8、9、10、11段と増えるにしたがって、シャフトも変わってきています。...
View Article古代ギリシャのサンダル
その昔、ヘンリーフォードがT型フォードを作ったとき、塗装は黒しか選べませんでした。「どんな色でも思いのままですas long as it is black.」というのはそれを茶化した有名なジョーク。...
View Article変われない日本
数週間前、自転車の文化を啓蒙する団体のしぶやんと電話で話した時、 「自転車を歩道に上げたのが1970年代のことでしょ。それから40年もクルマ中心で何にもやってこなくって、この予算がなくて税金あげるって言ってるときに、自転車レーンなんか予算不足でつくれっこないよ。まったくなってないんだこの国のやることは。」 かなり悲観的な発言でした。...
View Articleシャビーシィク VS 豪華絢爛
もう何十年も前のことですが、私が最初に英国へ行ったとき、もっとも心を魅かれたのはシャビーシィクなものでした。シャビーシィクとは何か?というと、これはなかなか説明が難しい。 作りが細密なわけでもない、高級品であるわけでもない、時には壊れていたり、薄汚れていたり、それにもかかわらず、どこか本質的な美が宿っているために捨てられず、大切にされてきた、そういう素朴なものです。...
View Article根性とスピリット
なんだかこのところ「体罰」だとか「しごき」がずいぶん新聞をにぎわせています。 「今頃になってやっとか」という気がします。私が学生時代に最も反発したのは「体罰主義」「全体責任」「見てみぬフリ」。こういう教師に対しては徹底的に反抗して軽蔑した。...
View Article人の存在感
人はそれぞれ雰囲気を持っているものですが、それは刻一刻と変わる。「今日頭の中を流れているものは、おととい流れていたものと違う」。これは会う人、やっていること、すべてで変わってくるわけですが、最後はふっと「今」が消えてしまう。 船の後ろの泡のように白くゆるやかに海に漂っている。それも遥か遠くのものは淡く薄くなってゆき、やがては別の船の通る深い海に戻る。...
View Article自師賢覚への道
4月になるといつも思い出すのですが、私は小学校時代白いハンケチにマジックでさまざまなマンガのヒーローを描いて持って歩いていたのですが、なぜかそれがヒットして「オレにも描いてくれ」という行列が出来ました。その時はなんだか「サイン会」のような具合になりましたが、クラスにもう一人同じような子がいた。我々二人は「得意分野」が微妙に違っていました。...
View Articleイタリア魂
ずいぶん昔の話になりますが、ドイツのある貴族の友人に、手助けを頼まれたことがありました。 「けっこう有名な工業デザイナーなのよ。同じ弁護士を使っているので知っているの。ちょっとしたアドヴァイスと語学的な手伝いでいいと思うんだけれど。貴方が会ってもよいなら、食事をどこかでセッテイングするわ。」 断る理由もないので、ミュンヘンの某ビアホールへ彼女と一緒に行きました。...
View Article一度に5台
連休もなにも関係ない。「し」「ご」「と」でございます。 一度に5台平行して作っているなどというのは、いままでにないことです。幸いにして3台まったく同じサイズ、ブレーキ違い(カンティとサイドプル・キャリパー)、エンド違いが注文がまとまったので一気にやっています。...
View Article「稼いで追いつける豊かさなし」
タイトルにあげた一言は「稼ぐに追いつく貧乏なし」の裏側ですが、どうも青年時代から今日に至るまで、日本では漠然とそういう気がする。 どうやっても、「ああ、この程度なのか」という思いが消せません。 学生時代から会社員をやめるまで、「稼いだ金はすべてヨーロッパで使う」、というパターンをつらぬきました。「つかいで」もあるし、「質」も得られた。...
View Article数十年ぶりの真実
最初に英国へ行って、帰ってくるとき、日本人にありがちな行動ですが、高級紅茶セットを買って帰ってきました。 不思議なことに、英国ではそういうものを使っている人をほとんど見たことがありません。 カタログをもらってきて、出国前の品定め。ずいぶん悩みました。その時のカタログは、ずいぶんわかりやすかった。カップだけでなくほかの家具なども一緒に載っていたので、たいへんためになりました。...
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