最近のスカッとしたデザインも良いのですが、私は実用一点張りの昭和レトロのデザインへの嗜好もやみがたい。
「いっそ昭和30~40年代の『れとろのどか』なものを一台自家用に作ろうか」とすら思います。
「他者のより3g軽い!」などと口角泡を飛ばしていなかった時代。
「田舎の街燈のない農道を、通学で乗るこどももいるだろう。このくらいの大きさがあったほうがいいよ。バットなんかもくくりつけるかもしれない。枠があったほうが壊さないだろう」
そんなことを話し合いながら、工場の人たちが決めたような形をしている。
そういうデザインがなんとものどかで、現代では決して生産されることのないような、今では失われてしまった重要なものを秘めているように思えるのです。
私はこういう古い補修部品があると、ついつい買ってしまうのです。価格競争と利益率のことばかりを考えてギスギスした現代で、こういう「れとろのどか」なものを付けるのは、強烈なアンチテーゼになると思えます。