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Channel: 英国式自転車生活
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昔の落差

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いまから40数年前、ヨーロッパのハンドビルトと、日本の量産車と、外観上、機能上どのくらいの差があったかというのは、なかなか当時を知らない人には実感できないだろうと思う。

このブルーの車両は当時のけっこう良い大量生産車で、これで公務員の一か月分の給料とほぼ同じ価格だったわけです。その中にこういう白い車両があったらどうか。

それが1965~1974年ごろまでの感じです。圧倒的な迫力で、路上で遭遇してもまったく別種の存在感があった。

それを『旅行道具として、実用品として使い切っている』のには独特のすごみと圧倒的な贅沢感があった。

この『使い倒す贅沢感』はなかなか理解されないかもしれない。所有欲、第三者に感心してもらおうとして持っているわけではなかった。そこが、後年バブル期に出てきたマニアとはちょっと物とのスタンスが違った。

1960年代後半に板倉さんのところに行くと、この白い車両のようなものが並べられていて、歩道に特売のようにはみ出して並べられている自転車は一台もなかった。

店内ではシャンソンやクラシックがステレオで鳴っていた。いまだに思い出しますが、フランスの変速器の箱が数百個積み上げられていて、そうするとフランスの紙箱とグリスの匂い、ブルックスの革の匂い、さらにコットンのバッグや、ブルックスのバッグのレンサティック・レザーの香り(現在のビニールバッグとはまったく別種の匂い)がした。


今は、自分がこういうものに乗るとしたら『タイム・ワープ』を求めてになるので、当時とは部品を選ぶ基準もちょっと違ったものになると思う。

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