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Channel: 英国式自転車生活
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2タイプの観光立国???

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なんでも『観光立国』というのが流行っている考え方らしい。海外から人が来る、けっこうなことです。問題はどういうひとたちが、どういうものに興味を持ってくるのか?でしょう。

私は『バーゲン目指して行列したり』、『免税品を求めて海外まで行く』ということをしたことがありません。なのでスイスなどへ行っても、まったく時計を安く買おうとかは考えたことがなかった。

聞いた話ではスイスでの時計の販売手数料はかなり大きい。ものによっては正札の半分ぐらいと聞いたことがある。そして、そこへ客を連れて行ったガイドさんは1割ぐらいのコミッションをもらう、、と、これもまた聞いた話。日本もそういうことを目指すのだろうか?

いまだに覚えているのは、当時、英国で紅茶を19世紀からやっているテイーショップで飲むと120円。もちろんポット・サービス。自分の店で毎日作っているマヨネーズで作ったエッグ&クレスのサンドイッチがおよそ一皿260円だった。そのころ、スイスのジュネーブで12cmぐらいの直径のマルゲリータと小さいカップのエスプレッソで1600円ぐらいしたのを記憶している。

海外旅行者は『かねづる』というのが露骨な感じがした。それでいて、本音は旅行者を嫌っていた。


英国は観光収入は大きいが、ヨーロッパ的、アジア的な観光のやりかたは嫌っている。それは彼ら自身の観光のやり方が『一つのスタイルを持っている』ことをみてもわかる。

どういうことかというと、長いこと英国には海外からものをたくさんショッピングで買いこんで、自分のうちの中のものを高級化して、物が満ち溢れれば幸福という人生観は知識人階級にはなかった。

『物質的によいものを持って、金をたくさん持てば幸福』というのは『唯物論』の全体主義の思想だろう。

これはホームズの昔からそうで、ホームズは高級なパイプを喫い、高級なアレキサンドリアの煙草を好み、一流のヴァイオリニストのコンサートへ行き幸福に浸る。しかし部屋は雑然としていて、好きな仕事をしているのが楽しい。アメリカの探偵エイモス・バークが美術品を集め、18世紀のヘッペルホワイトの家具に囲まれ、ロールスロイスに乗って、東洋人の召使を使っているのと対照的だ。


英国での幸福は『ライフスタイルにある』。持っているモノのすごさや預金通帳の残高ではない。


これは『旅行』、『観光』においてもその差がはっきりあらわれる。英国的に考えるなら、『その土地の人たちのライフスタイルが素晴らしければ、それを味わいに行く』。19世紀末から20世紀初頭には、英国人観光客はフィレンツェに長期滞在し,一シーズンそこへ住む人が多かった。絵画を見て、現地の人のように生活し、発想とライフスタイルを学ぶ。これはコートダジュールでもそうで、ヴイラ・フィランシュにある有名なサン・ピエール礼拝堂の脇にあるホテルの名前は『イングリッシュ・ホテル』だ。


ピーター・メイルのフランス別荘生活の本などもその延長線上にある。


もっと言えば、ジェームズ・ボンドの全映画は、『英国式ホリディ映画』と言えるのである。ボンドはイスタンブールに行けば現地の有力者の家にやっかいになり、ハギア・ソフィアを見に行き、ベリー・ダンスを見に行き、、ひと暴れして帰って来る(笑)。


そこの『現地の生活がつまらないところへの旅行はつまらない』と私は考える。若いころ毎年アメリカへ行っていたにもかかわらず、ついにアメリカへ寄り付かなくなったのは、私はアメリカのライフスタイルがまったく魅力あるものにみえなかったからだと思う。オーストラリアの生活も、どことなくアメリカの生活に似ていた。デカい家、どこへ行くにも移動するにも自動車、家にはプールがあって、モノは豊か。シドニーのオペラハウスに行くと、誇らしげに5年も6年も前にそこで公演した音楽家のことを書いたチラシがあって、『今週なにをやっている』というもののレヴェルを自慢するものではなかった。イタリアのスカラ座が5年前に誰が来たなどというのを『今』自慢することは考えられない。ロンドンでもパリでもウィーンでも『 What's on 』、今何がかかっているか?が問題なのだ。


最近の民泊が海外の人に受けているのは、『その現地で、現地の人のように暮らしてみる』ことが注目されているからだろう。しかし、それをまた違う視点で使う人たちを、どうやってふるいにかけて、好ましくない利用者たちを制限するか?がむずかしい。

夏には、英国でずいぶんイタリア人をみた。彼らからすると英国のライフスタイルは悪くない。イタリアには『ペンツィオーネ』というようなものがあるにはあるが、英国のように安く旅行が出来るB&Bや週単位で借りられるフラットはほとんどないと言う話だった。

『高級ホテルなどというのは、世界中どこも大差はない。』それはシンガポールの航空会社の旅客機とアメリカの航空機会社の旅客機の機内の差ぐらいだろう。スタッフの制服と、シートの生地、機内食の食材が違う程度だと私は思う。高級ホテルでどんなに高価な食材がでてこようと、高級酒がでてこようが、それは旅ではない。ある意味『高級品ショッピング』なのだ。

だから中東の一泊200万円とか言うホテルにはまったく関心もないし、私の人生には無意味だ。

日本国内では私は『英国でやっていたように旅行している』。つまりその現地での生活を楽しむ。べつに日本各地の超高級ホテルに泊まりたいとは思わない。人生で必要なものは高級品ではない。

以下のYoutube上のビデオを週末には観ていた。私の英国時代のある意味日常の場。高級ホテルに泊まり、珍味、高級食材を求め、一流品ショッピングをするばかりがのうではない。

同じ場所に何度も旅行してくれるような場所になるには、「そこに住み心地の良い魅力のある日常のライフスタイル」がなければならない。やがて旅行者に『お金を落としてもらおうと考えるだけの場所はあきられる』だろう。

Grantchester's Historic Orchard Tea Garden

Exploring Notting Hill,London

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