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Channel: 英国式自転車生活
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いわゆる進歩は成功だったのか?

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日々聞こえてくるニュースはどうも明るくない。そういう状況だから、自分が明るくなるほかない。

ジョージ・オーウェルの「1984」の中で、役人たちが一心不乱に新聞記事を書きなおしている場面がある。独裁者ビッグ・ブラザーの栄光の歴史に書き直している(笑)。昨今の出来事の危うさは、私にオーウェルの小説を思い出させる。興味のある方は『1984』を読み直してもらうとしよう。


ここ数年、新幹線の中でのよろしくない事件が2つばかりあった。火をかぶったり、昨日もあったばかり。『安全な日本』というイメージが壊れつつある。

こどもも最近は安全ではない。

うちへたまに記事を読みに来る方が、どうも介護の仕事をしているらしい。その方の記事に、施設に入った高齢者が『家へ帰りたい』というと、単なる認知症の帰宅願望として片づけられるということに、その方が疑問を投げかけていた。実質は『監禁されているようなもの』と書いてあったが、そうなのかもしれない。そこで働いている人がそう言っているんだから。

前にも書きましたが、人間の意識やこころは『出来事をエピソード記憶することから始まっている』と考えられている。では自分とは何か?というと、その意識の部分で生まれているもので、身体は勝手に老化したり病気になったりするので、ほんとうのところ、身体は自分のものではない。しかし、身体が自分の意識に影響を与えているのは間違いがない。体調が悪くなると意識は薄れますから。

この歳になって思うことは、『意識』というのはかげろうのようにもろい、ということだ。そのもろい意識、自我も歳をとるとともにしだいに弱まってゆく。

そういう中で、高齢者が安心して生活し、幸福な晩年を送るというのはどうあるべきなのか?どういう社会と道徳であるべきなのか?このへんで考えてみるべきだろう。

こころはエピソード記憶から生まれると書いた。そう考えるなら、『何かモノが欲しくなる』のも『自分はあれが何としても欲しい』というような気持ちは、こころの奥底から『あぶくのように湧いてきたもの』だから、それはこころの持ちようであぶくははじけてスッキリする。こころは風の中の風船のようにフワフワしているが、場合によってはしつこく同じことに執着する。

この執着は、自分ではなかなかわからない。

意見に執着し、社会での上昇に執着し、金に執着し、美男美女に執着し、それでも、最終的には『エピソード記憶が強制終了するところで終わる』。それでも脳はいきなりは停止しないので、自分のいままでのエピソード記憶の海の中で、目覚めぬ夢を見るのだろう。私の親戚で心臓も脳波も16分間停止していたのがいるが、それは夜、目が醒めて、いつもよりもっと暗く、何の音もなく、「ああ、これで終わりなんだ」という意識ははっきりあったそうだ。彼は奇跡的に生還した。

ならば、悪夢などみない人になるように、生涯努力することは無駄ではない。


これは最近の日本には、あまり真剣に考える人がいないように思う。昔の書物にはけっこう深い思索のあとがうかがえる。


近代日本~現代日本は、どうも西洋的な『意思的生き方」に振り回されてきたと私は見ている。しかし、西洋の場合、それのたずなを引く宗教モラルがあった。日本では『技術進歩、経済発展のためには、科学こそが絶対で、宗教などはないほうが進んでいる』という考えがもっぱら。

さて、そういう伝統的価値観を切り捨て、欧米式に『自分の人生は自分の人生』と、さっさと親は施設に入れ、白い壁を眺めて意識は薄れて行く。姨捨山の民話が残っているということは、昔の日本では、そういう価値観は知っていたが、それをしない道徳があったことを示している。


さて、いまや幼児さらい、おぞましい事件が頻発する。はたして我々は進歩したのか?ここ数年で、開業以来最悪の事件が新幹線で起こった。

うちのブログでも、こども2人を乗せる3人乗り自転車が危ない話は書いたが、『市場の要求』に押し切られて認可された。そして、その3人乗り自転車の事故が激増している。


すべては経済と効率のため。

そういう進歩の中で幸福がつかめるのかな?と自分などは考える。貨幣は経済の血液だから、貯め込んだ年寄りからはなんとかしてとろうとする。「もう余命少ないのだからいいでしょう」というのは、余命少ない人たちからPO亜して盗った『珍理教』と発想は似通っていると私には見える。


果たして我々は進歩しているのか?科学だけ進んで退行しているのか?

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