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Channel: 英国式自転車生活
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春が香る

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一般的には『薫る』と書きますが、我々自転車族は「香る」あるいは「芳」の字がしっくりくる。

自動車では「密閉空間なので、空気の匂いは楽しみの2次的、3次的、4次的のもの」。オープンであっても大雑把な匂いになってしまう。速度が速すぎる。モーターサイクルも同様で、フルフェイスのヘルメットごしなどでは香りどころではない。

春の香りは自転車に乗る楽しみの一部でもある。風の匂い、土の匂いに春を感じ、それがやがてしっとりと濡れた夜の空気そのもののような夜の梅の香りになる。

梅の後は沈丁花、そして桜。桜のあとは小さい植物。アブラナにも香りがある。今は鷺草が咲いている。

こどものころにはハッキリと感じたもので、大人になると忘れてしまう香りに『ネギボウズ』の香りもある。春の光の中、ネギボウズもみんな並んでなにやら楽しそうだ。

これは自転車の大きな長所で、『香りや匂いによって、野生の感覚を引き戻してくれる』。ほんの2時間3時間の逍遥が大きな気分転換をしてくれる。

こどもの頃から青年時代までの『遊び方の変化』を追いかけてみると、その中で、自動車というのはどちらかというと『さしこみブラシを使った電池なしのレーシングカーのおもちゃ』であるとか、ラジコンであるとかの延長線の上の1分の1のものという感じが私はする。

どこか『現実なのに仮想体験のような、現実希薄のところを私は感じる』。

その『現実希薄』なところを嫌って、あまりに静かなものを敬遠し、オープンを求めたり、小ぶりな車を好んだりする。その同じ路線にモーターサイクルがある。

どちらも自然密着型の散策・逍遥となると自転車にかなわない。ある意味、徒歩よりも自転車のほうが有利だ。それは、自転車は歩く遅さにも合わせられる一方で、人間の身体の大きさと行動半径の関係を見ると、自転車を用いることで、人間は一気に羽のある昆虫なみの行動半径を手に入れられる。

数日前、出先から帰って来る時、踏切で隣に自動車が来て、隣りに並び、中でテレビを観ていた。『蛇兄いズの若者』かな?どこへ行くのにも耳のイヤーフォーンからの音とスマホの情報、テレビの刹那的な会話がないといられない人がいるのかもしれない。それは、じつはマンションの中から一歩も表に出ることのない室内犬が最新式の『お出かけバスケット』に入っているのと似た移動空間なのではないか(爆)?

自然と切り離され、『巨大なシャボン玉の中に入って、外の空気を吸わず、歩き回っている感じ』(笑)。現実はそこでは『映し出された影』のようなものだ。シャボン玉の表面に映ってクルクル回っている。

もし、そういう傾向があったら、自転車に乗って現実に吹いている風を感じ、空気の香りを楽しみ、初めての道へ入ってみて脳を刺激することをおすすめします。

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