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Channel: 英国式自転車生活
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カンティ・ブレーキ

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私がずーっと謎に思っているのは、「ブレーキ台座と本体の深さのギャップ」です。

日本のカンティ・ブレーキをフレームの台座に差し込むと、必ず5mmほどの宙に浮いた空間ができます。カンパニョーロのカンティにはこのギャップがない。

このギャップがあるためにブレーキが利かない、ということはないのですが、私は長年このギャップが気になってしかたがない。

実際これをノギスで測ってみると、ブレーキ本体の寸法がなんともシャッキリしないファジーな寸法であがっています。

この宙に浮いた、「中途差込」が弛まないために締め付けのバーチカル・ボルトには弛み留め塗料が塗られています。このブッシュ状になった部分はフレーム台座に対して回転するわけではないので、通常は弛みませんが、これを固定するボルトにゆるみ止めが塗られるということは、「弛んだ事例があった」ということでしょう。

かつて、マファックやCLBなどには一切弛みどめは塗られていませんでした。昔のブレーキでボルトが弛んだ経験はありません。

ところが、この最近の「中途差込」構造にブレーキ台座取り付けのキャリアをつけて山岳サイクリングでダートを走ったりすると、てきめんに弛む。じつは27号はそれに泣かされました。カラーをかませて長いボルトを使うと言う手もなきにしもあらずですが、それでもネジの切ってあるほうのウケの端面にボルトが接触しない、という固定のやりかたが、機械的によいやりかただとは私には思えない。また、カンティ・ブレーキ本体の内側のスリーブに対してスプリングがかけてあるので、構造上、カラーをかませると良くない要素も出てきます。

この規格の台座の直付けカンティは、フランスのマファックが1947年にやりはじめた(1948年??とにかく1940年代末です)。

以来、CLBもダイアコンペもワインマンも、アルテンバーガーも、サンツアーも、ポールも、ミスターコントロールも、プロマックスも、カンパニョーロも、みんな同じ台座でやってきました。

私はどうも、この「国産のファジーな隙間」が気になって仕方がない。どんな町工場の機械加工屋に訊いても、「ここに隙間があるのにブルーのゆるみ止め塗料塗って締めるのと、こっちの『つらいち』でゆるみ止め塗料ぬって締めこむのと、どっちが弛みませんか?」と訊けば、隙間のないほうと答えると思います。

また、私はどうも「経年劣化で割れたり粉を吹いたり脆くなったりするプラスチックが多用された設計が好きになれない」。

なんだかズボンのなかでパンツのゴムが切れてひっかかっているような、なんともいえない気持ちの悪さを現代部品に感じます。

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