「ロンドンに厭きたら、それは人生に厭きたということです。なぜならロンドンには人生で得られるすべてがあるからです。」
あまりにもロンドンっ子の間では有名な一言。
東京に飽き飽きしつつある私などはどうしたらいいんだ、という感じ(笑)。最近の頭の中の地図では、府中を越え、調布を過ぎ、野川を越えるとつつじヶ丘の先で地面が切れていて、その崖の下をのぞくと巨大な亀の背中に地面が載っていて、亀の足元には海があって、その先で海が滝になって落ちている。
ロンドンではずれのほうへゆくと、だいたい「WORLD'S END」という名前のパブがあって、海が滝になって落ちていて、船が滝を落ちてゆく看板がでていたものです。
たしかに厭きない。屋根裏生活には屋根裏生活の味わいがあり、最高の生活のはしっこに、自分が貧乏していても滲み込める。
「ええぃ、どうせなけなしの金だ~。」とか言ってケンジントン・パレスのティールームへ行ってみたり、釣り合いをとるのに、そのあとはしばらく、ポーランド人のおばあさんがやっている音楽家があつまるレストランで300円でパンとスープで数日間ブランチですませたり、スイートビーンズとトーストの朝食で200円ですませたり、それはそれなりに嫌いではなかった。
東京では安く上げるには立って食べるか、フランチャイズに行くしかない。
京都もそうですが、多摩や国立でも、停めておいた自転車を、巡回車にすぐもってゆかれる。引き取りに数千円とられる。それも自動車で行かねばとうてい行かれないところに保管されている。半日がかり。
さきおとといは警察官が堂々と、府中の近くで自転車で車道の右側を走行していました。
「自転車は軽車輌。左側を通行しなさい!」と警官に向かって怒鳴りましたが、べつにイヤフォーンをしているわけでもないのに無言で黙殺。右側走行を続けて視界から消えました。かなり図太い。
日本では都市部へゆくほど、こうしたイライラがたまる。郊外からでないのが理想です。
たまには向こうへ行って骨休めしてこないと、この国では戦い続けられないな、と思う。
先日、おみやげにもらったシャボネルのチョコレート。前回はミルクでしたが、今回はビター。カタチは地味ですが、箱を開けた時の香りがすでに高雅です。
日本にありがちな、「高級チョコ特有の、生々しいくどさ、しつこさ」がしません。
こういうチョコの箱をロードスターのウイロー・バスケットに入れ、フォイルズで買ったマーブル紙と革の装丁の古本を開き、中庭で自転車を休ませ、読みながら一粒二粒食べる。こういう時間が日本ではつくれませんな。