Quantcast
Channel: 英国式自転車生活
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3751

ソフトスキル

$
0
0
当ブログへの常連さんが別のブログへ引っ越したのですが、そこで英国でのソフトスキルの話が出ていた。

態度、物腰、喋り方、服装など、それらすべてを駆使して社会を泳ぐわけですが、その方、それは『生まれ育ち、生活環境ではないのか?自分は機会平等のアメリカ式日本で育ったので、、』というような主張だったのですが、私は英米、両国をよく知っているので断言しますが、

英国の方が、アメリカよりはるかに生まれ育ちの壁を越えやすい。

アメリカが階級社会でないと思ったら、大きな間違いだ。私が高校時代の時の友人で、名門プリンストン大学から来ている留学生がいた。また西海岸から来ている日系3世の友人がいた。そのときに、いろいろな時に、西海岸日系3世の友人が『ひけめ』を告白していたので、はじめて、アメリカも自分が考えているほどクラスレスではないと知った。

その後、ちょっとした時に、アメリカの人が『彼の方がよい英語を話す、、』というようなことを耳にして、『それはどういうことか?』とよく質問した。さらに、その後、ヒスパニック系の友人ができると、同じアメリカにいても超えられない何かがあるのをよく聞かされた。

そう言うことを言ってはいけないのかもしれませんが、いまのトランペット大統領だって嫌いなわけでしょう?『背中の濡れた奴』(川を泳いで密かに国に来た連中)、とかほかにもよろしくない表現はゴマンとある。先週はニクソンとレーガンが『モンキーどもが~~』と話しているテープを聞いた。

このあいだ、たまたま昼飯に入った食堂で、私がどうやって英語を勉強したのか訊かれた。私は大学一年の時までは、徹底したアメリカ英語でした。メイン州のほうの人、プリンストンの人、ロチェスターの人の3人のアクセントが強烈に入っていました。それを1年間で段階的に英国英語に直した。ある程度のところまで治すのに4年かかった。それでも、彼らは母音ひとつ、子音ひとつで、お里が当てられる。

『そうとう頑張っているけど、アメリカ人の先生についたでしょう? I can tell it from your R sound.』

あちこちで、そう言われた。その癖を落とせたのが30歳ちょうどぐらいか。あいづちの打ち方や単語、タイミングもまったく違う。最初に、日本で会った英国人との話の中で『Far from it』と言ったところ、『いやぁ!懐かしい!いまの使い方といい、タイミングといい、じつに英国的だ!』と感心された。英国でいろいろと面倒を見てくれた恩人がいて、彼女がさまざまな注意を与えてくれた。『それは文法的には正しいが、卑屈に聞こえる。こう言え、』という具合。


そのころから、英国で『扉が開くように受け入れられるようになった』。着こなしはイートン校御用達の店の親爺が教えてくれた。

『初夜のベッドのなかでもイートンのスクールタイを締めているような人になってはなりませぬぞ』(爆)

これらは、英国に於いては『修行でクリアーできる』と私は考えている。しかし、私は、アメリカでは顔や外観を変えないかぎり無理、というハードルを感じた。ドイツでも感じましたね。じつに嫌なものだ。それは見えないし、言葉に発せられないけれど、はっきりと存在すると思う。

英国は意外に島国ではない。インターナショナルな感覚を持ち合わせている。彼らが嫌がるのは、彼らの伝統的な価値観にレスペクトを払わない人、それらを理解し愛さないよそ者、なのだということがわかる。逆に言うと、そのあたりが押さえられている人は英国紳士・淑女で通用する。裏返せば、紳士・淑女は外見ではない。

現実問題として、英国の階級間移動の人口統計を見ると、アメリカや日本よりはるかに移動する人が多いことがわかる。これはノーベル賞候補にもなっていた故森嶋教授の本にも出ている。


身近な例、ロジャー・ムーアは警察官の息子で、ボディビルのモデルをやったりしていたが、彼は出身の労働者階級のアクセントはほぼ無い。ジュリー・アンドリュースは極貧で、舞台に立つとき、靴下には穴が開き、そこを塗っていた。それでもprissyながら良い英語を話す。そして、両者とも成功した。一方で『自分はいかなる役柄でも絶対に発音を直さない』と宣言していたドロドロのスコットランドなまりのショーン・コネリーも、労働者階級出のマイケル・ケインもやはり人気者で受け入れられている。

興味深いことはロジャー・ムーアとマイケル・ケインは出身の背景がほとんど同じで、ロジャー・ムーアもマイケル・ケインのようなアクセントで話していた可能性があったのだ。

それは、その人の向かう人生の方向で、いずれを選んでも良いのが英国だ。ミック・ジャガーなどでも、本来なら上流階級の英語を話していてもおかしくないのだが、意図的にそうではない方向へ行っている。

どちらでも使いこなせるというのは便利なこと。『英国人はピンストライプの背広を鎧に、ウィットとユーモアを槍に、にこやかな笑顔と美しい英語を鉄壁として用い、無礼で無教養な人から自らを防御にする』という言葉があるぐらいだ。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3751

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>