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Channel: 英国式自転車生活
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セミを助けて何になる?

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このところ、と言って5年ぐらいですが、ずいぶんセミが道路を横断しているのを見るようになりました。私もこども時代はたいへんな昆虫好きでしたが、はたして、昔はこんなに道路を歩いていたかな?と思うのです。

かつて、林がたくさんあり、その下は泥の地面。目に付かなかったのでしょう。

それが今は、街路樹の下に住むしか場所がなくなって、道路へ迷い出てくる。木がないので、道端の側溝の上辺りのセメントのザラザラしたところにつかまっているのが多い。また、それを激増したカラスが、まだ明けやらぬうちから捕まえて大騒ぎしています。

何年もかかってやっと地上に出てきたら、殻を脱ぐ木もなく、うろうろやっているうちにカラスにつかまる。気の毒なものです。横断中のものを見かけると捕獲して木にとまらせる。多いときは一晩に5匹ぐらい。殻を脱ぐにはそうとうな力が必要です。うまく掴まれる場所が見つからないと、彼らには死活問題。なかにはセメントの上を歩いているうちに殻が割れ始め、殻が固くなって、あまり歩けないのもいる。そういうのは、もう、ベストな場所を見つけて無理矢理とまらせる。

彼らが何の役にたっているのかわかりませんが、かれらはトンボと同様、何億年も生き延びてきています。あそこまで数がいて、森にいるとなると、何か我々の知らない自然界での役目があるに違いない気がします。

私が小学校時代、田圃のはずれが沼になっているところがあり、そこにはさまざまな魚や動物がいました。ドジョウ、さまざまな種類のカエル、ヘビ、タガメのような珍しい水棲昆虫、亀。こどもたちのよい遊び場所でしたが、ある時、その沼が埋められました。それ以後、我々こどもたちが自転車で行ける範囲に、そういう小動物がいる場所はなくなったのでした。

同じように、カブトムシやらクワガタやらカミキリムシ、ありとあらゆる甲虫がたくさんいた林もつぶされ、やはり突如、すべてがいなくなりました。

我々人類も自然の産物で、ある自然環境が人間を生んだわけです。自然は人間という種の親といってもよい。その「自然とはなんだ?」といえば、それは何十億年もかけて形作られてきた、植物と動物の、考えられないほどの多様性を持った複雑な集合体なわけです。土壌と天気だけで自然は成立しません。日本の科学教育は、そういうことを教えず、「科学に何が出来るか?」という功利的な科学ばかりを教えてきたように思います。科学がいかに発達しようと、富士山が噴火したらとめるすべはなく、NASAも言っているように、太陽が800年に一度とも数千年に一度とも言われるメガフレアを出したら地球上の電子部品のほとんどはダメになる。そのとき使えるのは一部の軍用マイクロチップだけでしょう。

そういうなか、遺伝子に悪影響を与える電磁波を大量に出す電力大量消費の「オール家電」にして、やはり電磁波を大量に出し、新幹線の3倍ぐらいも電気を喰うリニアモーターカーを走らせようとしている。石油大量消費時代も終らぬまま、原子力による電力大量消費時代なのか?自然への畏敬も科学の理解もない「功利科学の商人」が科学を暴走させているように見えます。

私はこどものころ、そうした「森」や「沼」の生命集合体が一夜にして壊され、すべてが消え去ったのを目撃してきたわけです。

この歳になって考えることは、人類が今のままの環境で生存し続けるためには、植物も動物も、今我々が知るままで維持して、多様性を保っていくことが重要で、それをしないと、孫や子の時代には人間も存在が危うくなるということです。

乾いたアスファルトの上に、他の動植物なく、人間だけが繁栄できるとは考えられない。

なんでも、今年ぐらいから、都心で数十センチもあるヒルが、けっこう繁殖しているそうです。雨の日になるとどこからともなく出てくる。うちのほうも、雨の後、樹木から落っこちてきた数十センチもあるヒルが地面を歩いていますが、そういうのが自動車に踏まれると、タイヤに切れ端がついて、都心へ運ばれ、この温暖化と、都心のビルのなんかの具合が彼らの気に入って、増えているらしい。

そんな話は私がこどもの頃は聞いたことがありませんでした。

小学校、中学校の夏休みの宿題には、必ず「毎日の天気と温度」を書くところがありました。ところがこれを、夏の終わりに書くのですが、記録がない。うまくしたもので、少年雑誌には、この時期、「マンガを読ませた責任をとって」、2か月分の天気と気温がリストとして載ったものでした。

しかし、当時は普通は28度ぐらい。30度になると暑いなと思い、8月の後半で31度ぐらいで「スゴイな」と感じ、32度とかになったら「普通じゃない」と思ったものです。それがいまや37度を越えるのですから信じられません。

そこまでになると、生物分布が変わるでしょう。また、オーストラリアあたりにいる毒蜘蛛(ゴケグモ)や、いま北米で増えている西ナイルのウイルスを持った蚊などが、ひとたび持ち込まれたら、農作業もおちおち出来なくなるでしょう。

すでにツツガムシ病などは、高速道路の発達で、高速道路ぞいのところで発症例が増えている。

日本もすべてを根本から考え直さないといけないところへきていると思います。

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