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Channel: 英国式自転車生活
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孤軍奮闘

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昔からそうですが、私は流れに逆らってやっているところがあります。

順当な「ビジネスの考え」からすれば、フレームは中国・台湾製にしてしまえばいい。それをやりたくない、というので苦しんでいるわけです。

渋谷からすぐのところに3万円台でフロント・ダブル・ギアのロードレーサーが売っていました。フレームだけならいくらでしょう?クランクの軸であるボトムブラケットのユニットですら、問屋から買って数千円します。クランクだって、うちで使っている801Dのクランクは小売りで29400円します。それがたとえ卸価格になったとしても、何分の一かになるわけではありません。タイヤの外側のゴム部分とチューブだけでも、良いタイヤなら1万円ほどの数字です。

そこへフレームがあって、ハンドルがあって、サドルがあって、ブレーキがあって、変速器があって、リムがあって、ハブがある。うちで使っているハブは前後で2万円弱します。

そうすると3万円台のロードレーサーというのがいかに異常な価格かがわかります。どのくらい部品とかをダウングレードすればそこまで行き着けるのか?

それが6万円となっても、それでも、そういうものを売って生計を立ててゆくのはたいへんでしょう。家賃と光熱費で、最低でも20万円、ある程度の面積がある店なら35万円ぐらいは覚悟しないといけない。さらに通信費がかかり、そこへ給料があって、従業員がいたら、一ヶ月数百台売らないとやってゆけない。これは物理的に不可能に近い。ましてや、うちの車輌のように、これから啓蒙してゆかねばならないものは、まず不可能なやりかたです。

うちなどは、ハブをカンパの絶版のもの、とか云う具合になると、部品は譲ってもらいにゆき、右から左に儲けなしの価格。それが増えれば、あるいは、持ち込まれれば、ついにはうちで利益が出る部分はなくなります。そうかといって、そういう部品のほうがあきらかに現行部品より物がよい。ここにうちでやっている自転車の最大のジレンマがあるのです。

去年の震災のあと、安物自転車が大量に売れました。安物を扱っていたところはかなりうるおった。それが一巡して、今は新規の売れ具合がよろしくないようです。さらに不景気が深まった感じで、高額商品の買い控えの気運がある。

その営業形態上、「数が売れ続けないとやっていけない」ところも多いはずです。私の聞いただけでも、先週末だけでも廃業してビルにするところが3個所ありました。たいへんだな、と思います。

歴史をひもとくと、世界大恐慌のとき、だめになったところもありますが、超高品質・少量生産のところは意外に生き延びています。数を売らなくてよいので。

うちなども、家賃がかからない自宅と、安い倉庫でやっているのでなんとかやっていられます。

ただ、こういう不透明な時代なので、先を読んで新しい商品を考え出さないといけません。今日はその試作品を前にしての打ち合わせ。これは自転車関連グッズですが、万人向け。マニアからビギナーまですべてに使えて、おしゃれ。精密な機械とかではないので、これは材料は一部海外に求めました。これは、ちょっと、なかなか引っ張ってくるのが難しい材料です。

ところで、私もしっかりと確認はとっていないのですが、今度の日曜日の早朝7時ぐらいの、フジの報道2001で、ここでも紹介した「RE:NewTohoku」のロンドンでの展示会の取材が放映されるようです。うちの28号もチラッと出るかもしれません。

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