たまにはジングルベルだのホワイトクリスマスだのの聞こえてこない12月を過ごしてみたいと思う(笑)。現代日本では難しいでしょう。
私などはこの時期のクリスマス期間には、けっこうストレスがたまる。まず、クリスマスはイエス・キリストの生誕の日ではありません。ケルト人やミトラ教徒やら、太陽を崇拝する人たちが、冬至のあたりで太陽が高緯度の北ヨーロッパでは地を這うように低くなるので、『それっ!太陽さま、頑張れっ!と火を燃やしてお祭り騒ぎをしていた』。
何度やめさせようとしてもやめないので、ついに教会がおふれをだして、この日をクリスマスとした。
ハロウィンと同じで、もとはヨーロッパ先住民のお祭りだ。
だから、クリスマスと言えばヨーロッパなら『クリスマス・オレンジ』。オレンジは日本の正月のお供えのみかんと同じで太陽です。ガンガン火を燃やして太陽を活気づける。だからケーキも薪をイメージした『ログ・ケーキ』をもって正統とする。
また、鳴っている音楽から風俗習慣までが、濃厚に『アメリカもの』なのです。イエスさまはどこかへ放り出され、サンタクロースがバットマン・スパイダーマン級のスーパーヒーローになり、健太じいさんから『四十八手のおねえさん』から富士屋のケーキ売りの少女までサンタに化ける(爆)。
25日に売れ残ったケーキに、最後の1本のマッチを擦って火を点けると、クリスマスの夜の楽しい団欒の光景が炎の中に見えて、教会にも自宅にも行けない哀れな少女はたおれてしまう、、(笑)。顔をなめてくれるパトラッシュすらいない(爆)。
みなさん、25日の夜、ケーキ売りの少女を見かけたら、この話を思い出してください。今昔物語風に言うと『とわに伝えたるとや』(爆)。
英国では「サンタクロース」などとは言わない『ファーザー・クリスマス』に決まっている。「メリー・クリスマス」も最近は増えましたが、『ハッピー・クリスマス』が正統英国流だ。フランスの南のほう、セザンヌがいたエクスやルノアールがいたカーニュへ行けば、クリスマス・ツリーはありません。イエスの生誕の様子を再現した小さい箱庭の『ソントン』という人形の模型が置いてある。
私も30~40年前は、クリスマスの時期にはホームレスの人たちに毛布とお弁当を配っていましたが、それでも、最後は帰郷できない欧米人がまとまっているところでキャロルを歌ってびっくりさせて、みんなで食事をした。いまは、どうもそうしたコミュニティがなくなっている。
これは、『現代社会は自分の外にあるものを追いかけている』というところに問題があるのだろうと思う。スマホを見る、SNSを見る、すべて自分の外にあるものを追いかけている。いまどこのカブを買えば儲かるか、それも外部の情報を追いかける。何かを買おうとする、まずググってみる。他の人の意見を調べる、つまり他人の評価と意見を追いかけている。自分が本当に欲しいものではなく、ほかの人が良いと言っているもの、みんなが欲しがるものを買おうとする。
竹はこの時期でも美しい。冬には冬の花が咲く。それを楽しむ人には外部に追いかけるものは何もない。