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Channel: 英国式自転車生活
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いつ稼ぐのか?

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ネットのニュースの統計を見ていたら、今の30代で貯金ゼロの人が3割ぐらいもいるらしい。これを、たとえば、100万円までを『貯金無し』としたら、たいへんな高率になるのではないか?いま、若い人が、ちょっとした手術をして、1か月入院したら、すぐ100万円、200万円なくなりますから、200万円までは貯金ゼロとみなしても私は良いと思う。

昔、仁さんと話をしている時(馬事公苑裏にいたあたりからの話)『まぁ、職人はねぇ、病気になったらたいへんだよ。給料振り込んでくれる奴はいないから』と、いう話をした。そのあたりの安定収入は彼の長年の悲願だった。最後に、なんとか家賃収入でやって行ける体制にしましたが、多くの人たちはたいへんです。

塗師は長年のコンクリートの床での立ちづくめで、片足を引きずっている。『これで、脳梗塞でもやって、右手が利かなくなったら終わりだから、水気のものは大量に摂ってますよ』。

私がひいきにしていた蕎麦屋が突然消滅したのも、親父さんが倒れたからだとこのあいだ聞いた。だいたい方向転換するあいだ持ちこたえられる貯えのあるところは少ない。

この間、店主がガンで具合が悪くなった喫茶店の前をクルマで通ったら、違う人がカウンターに入っていた。誰かを頼んだのだろう。これは『一人の稼ぎが大きいほど、ダメージは大きい』。会社などでも実は同じで、動いている経済規模が大きいほど、たいへんだ。大きければ安泰というものではない。

たとえば、自転車界でも、エルネストに何か健康上の問題があったら、誰が継ぐのか?私はナンバー2の名前が思い浮かばない。ウーゴは息子たちをカリスマにしようとしているが、これも未知数。ウーゴもエルネストも『メルクスが実はこっそり頼んでいた』ということで、ケッセルなどの名前を隠れみのにして、その先に2人がいて、『知る人ぞ知るシャドー・ビルダーのブランド』であったわけです。

そういうカリスマたちもほとんどが30代~40代で盤石の土台を作り上げた。あるいはその時代の蓄積の上に50代、60代がある。

30代で貯金200万円以下だと、50代から先、年金開始までの生活が極端に難しくなるのではないか?いまや年金開始が70歳、75歳になりつつある気配である。そういう状況では結婚してマイホームなどは夢のまた夢だろうし、『少子化』以前に『自分自身の家庭を結婚して持っていない若者の増加』を考えるべきだろう。

貯金ゼロでも、なにか『手に職』を付けるか『稼ぎを体験に変換してため込んでいる』ひとには、まだ、逆転のチャンスがあるが、ほんとうにその日暮らしのひとは困るだろう。

実際のところ、知識も、能力も、教育も、多くの部分が『資力』と結びついている。よほど、後継者の養成のうまい良師に巡り合わないと、『栄養のない土壌の上に落ちた種子のように、一生芽が出ない』。

これは嫌味に聞こえたら申し訳ないが、自分は若いころに父を失って、また世田谷の家の立ち退きの金が入り、それで英国へ留学した。もし、あそこでその2つがあの時点でなかったら、いまごろは自転車にも乗らず、高血圧と脂肪肝かなにかで、毎日ザラザラ薬を飲んで、定年後の2度目の就職で、どうやってローンを払うか考えていただろうと思う。当時の私には英国へ行くなどと言うのはまったく不可能だった。それが偶然、出来るようになった。

また、あの時、熟慮の末、アメリカへ行かず、『裏に賭けた』わけです。それがよかった。「弱まっている英国の方がお金が使いでがある」と踏んだ。事実、日本で珈琲が一杯300円の時、ポットに入った紅茶が40円~60円だった。

今の若者には『逆転のチャンスがきわめて少ない』ように見える。これは社会の問題だろう。マイフェイスに登録すると、そこに『学歴』が付いて回る。決して「その人の潜在的ポテンシャルや天賦の才能」はデジタル情報ではあがってこない。条件指定で足切りされて終了です。これは海外の求職SNSでも同様です。私がマイフェイスを毛嫌いしている理由はそこにある。

実際の話、ヨーロッパの超富裕層の行く学校では、誘拐などに備えるためと、身体能力を極限まで伸ばすため、体育の替わりに軽業をとりいれているところがある。成功して美男美女をめとって、生まれた時から美男美女、最高の教育を与えられ、小学生時代から乗馬やスキーをやり、食べ物は幼少時からうまいものを食べ、芸術に親しみ、最高のものを着せられて、世界各国からの生徒と知り合って人脈はできる、複数言語はできる。軽業まで出来る。どうですか?資力の差は果てしがない。

こうした『資力による教育』にどうやって対抗するのか?

結婚して、ようやっとの低空飛行では、そういうサラブレッド教育を抜けてきた連中とビジネスの世界でも対抗するこどもを育てるのは難しいだろう。

正岡子規は江戸から明治への転換がうまくいったのは、明治の政治家が優秀だったからではなく、江戸時代の日本の低層の人たちのレベルがものすごく高かったからだと分析している。それはその通りだと思う。

いまは「さらなる経済成長」という一言で、『持てる者はさらに金持ちに』、『貧しい者はもっと貧しく』という図式でことが進んでいる。これは当分は問題点が発覚しないだろう。しかし、20年後、30年後、社会のあらゆるところで、収拾がつかないかたちで問題が噴出してくるだろう。

20代~40歳ぐらいまでに、能力のある者は豊かになれて、それをこどもに教育や文化のカタチで伝えられない社会に未来はない。

数日前、大病院で、若い医師が、患者の患部のガーゼを開けているところがカーテンの隙間から見えた。そうしたら、その若い30歳ぐらいの医師が、
「やっべ~~。こんなことになってるよ。ひでーな。」
それを言われた患者もショックだろうが、さらに、
「これは日勤の医師のやる仕事じゃネぇっス。やっといてね。」
そう言って、看護師に丸投げして、その医師が廊下に出てくるのを目撃した。

20年後そういう医師が『科』のトップになって、そういう人に多くの人が最期をまかせるのかな?と思って日本の未来も暗いと思った。

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