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Channel: 英国式自転車生活
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原子力のおそろしい生い立ち

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原子力を使った兵器の全廃止に興味があったので、昔からロス・アラモスでの原爆開発記録はよく読んでいました。しかし、そこで知ったのは、ナチスの側にも原爆製造計画があり、それを阻止するために、ノルウエーのレジスタンスが活躍して、ドイツへ「重水」(普通の水より10%重い)が届けられるのを未然に防いだので、ナチスは原爆が完成できなかった。

ドイツでそれを開発していたのは、ノーベル賞受賞科学者ハイゼンベルグでした。それをナチスはどういう使い方を考えていたのか?

ヨーロッパでは、それを使うと陸続きなのではばかられた。ヒットラーはそれをニューヨークに落とすつもりでいたといいます。それをどうやって運ぶのか?

アメリカのテレビ番組で、現代のノースロップ・グラマン社がナチスの秘密飛行機、HORTON229を試験しているドキュメンタリーを見ました。

最初、アメリカ軍が森のなかの工場でこの飛行機を発見したとき、その意図と重要性がまったくわからなかったと言います。奇妙な3角翼の流線型。ジェットエンジンが2つ付いているのにボディはベニヤで出来ていました。「たぶん材料がなかったのだろう」ぐらいにとらえられていた。

しかし、それから60年以上経った現代、それはまったく意味が違うものとしてとらえられはじめています。当時ドイツの空軍を悩ませて、英国が制空権を握ったバトル・オヴ・ブリテンでの勝利のうらには、英国が優れたレーダー網を持っていたことが背景にあります。

このレーダー網の開発にかかわったのはケンブリッジ大学のトリニテイー・コレッジの人たちが多いのですが、意外なことにチャーチルなどは「そんなものはなしですませられる」と重きを置いていなかった、と当時を知る大学関係者から聞いたことがあります。しかし、これによって英国側はドイツの動きを事前に知り、世界初のモノコック・アルミ・ボデイの戦闘機スピットファイアでドイツ軍を打ち破ったのでした。

ドイツはそのレーダー網を突破して、レーダーを破壊し、ゲームの流れを変えようとしていた。

その秘策とは?レーダーにほとんど映らずに、ジェットエンジンで超高速で進入し、レーダーを破壊する作戦でした。つまり「ステルス」です。そのドイツ版ステルスこそホートン229だったのです。

ステルスにはカーボンファイバーが多用されます。これはレーダーに反射をかえしにくくするため。ホートンではそのためにベニヤが使われた。現代のノースロップ・グラマン社のエンジニアは、彼らが60年時代の先を行っていた、これが完成していたら完全に流れを変えていただろうといいます。通常のプロペラ式戦闘機では防ぐことも追尾することもできない。

その姿、最新のアメリカのB2と瓜二つです。ドイツはこれにジェットエンジン6機を積んだ大型機で、ニューヨークを狙っていたと言います。

そのドイツの当初の計画では1946年にはドイツは原子力を手に入れ、ユーラシア大陸を縦横に走る高速鉄道で結び、ヨーロッパにはアウトバーンで高速自動車網をつくる。資源と電力の供給はシベリアから、、この「構図」はじつに興味深いと思うのです。

母国ゲルマニアではみんなが自動車を持ち、高速で飛ばして移動し、高速鉄道でさらなる長距離は移動する。いうまでもなくこれは大量にエネルギーを使います。そのための補助として原子力が必要になる。

その原子力は危険なので、ゲルマニアから出来る限り離れたシベリアという人口の少ない僻地につくる、、これはどこかの技術大国の政策とそっくりなのではないか?

ウラニウムはそれを採掘する人たちに深刻な健康被害をもたらします。また事故が起これば周辺住民に深刻な被害を及ぼす。またその事故が起こったあと、それの処理をする人たちにも、また維持するのにも、そこで働く人たちの健康に深刻な影響を与えるのが原子力発電だと私は理解している。また用済みの核燃料もそれを無害化する技術はありません。「捨てる」しかない。

大戦中の彼らの未来の青写真には、「強制収容所」という恐ろしい労働力がありました。現代ではそういう危険なところへは誰が送り込まれるのか?新たなる貧困層でしょうか?私はそういう誰かの犠牲の上にしか成り立たない電力発電システムは未来を約束しないと考えます。

また温暖化をとめ、化石燃料枯渇を先へ伸ばすために、自動車による個人の高速移動などはつつしむべきでしょう。

残念ながら、世の中から、ドイツ人の発明である自動車も、高速道路網も、ジェット戦闘機も、高速爆撃機も、大陸間長距離ミサイルも、クルーズ・ミサイルも、生物化学兵器も、なくならないようです。事実、ドイツの自動車会社の大株主のなかに「根尾那智」がかなりいることはヨーロッパではよく知られています。ニューヨークのユダヤ系の人たちのあいだでボイコット運動が起こったこともありました。

私はできるかぎりそれらから距離を置き、原子力のものから遠ざかり、バートランド・ラッセルのように自転車に乗り、パイプをくゆらせていたいと思います。

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