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Channel: 英国式自転車生活
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中高年の軟着陸隠居

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平安時代とか鎌倉時代とかに、山の中に草庵を建てるのに大枚をはたいて土地を買ったとは思えないのです。たぶん、その土地の有力者に頼んで拝領するかたちとかだったのではないか?

江戸時代より前、普通の人は退職金も年金もありませんから、隠居所の家賃を払えたはずがない。

日本は国土に山地が多く渓流も多いので、南画にあるような草庵を建てる場所にはことかかなかったでしょう。

日本では人口減少が騒がれていますが、私はむしろ人口など増えないほうが良いと思っている。英国では国内の住居建築の床面積を人口で割るとアメリカより一人当たりの住居面積が広い。今はどうだか知りませんが、かっては英国が世界一と言われていた。

オランダは灌漑によって海からつくった国土が多いので、土地の個人所有の思想が少々違う。「土地はみんなで作った」という意識があるので、土地の家賃が信じられないくらい安い。司馬遼太郎の本で読んだ時、オランダにある日本人の小学校だかの借地料が年間で数百円だか数千円だったか?たしか、聞いた話では、無人で何年も住んでいない空き家があったら、ヤドカリのようにそこへ勝手に行って住み始めても、おとがめなしという法もあると聞いた。

ある年齢に達したら、『規模縮小』というのは正しいことだと思う。体力も落ちてくるわけだし、片付けとかさまざまなメインテナンスも少ないにこしたことはない。小さく住まう。

「出て行く金をできる限り少なくして、社会的体裁(ソーシャル・レスぺクタビりティ)を守り、生活の質は王侯貴族にもひけをとらない」というのは、かつては世界経済の4分の1を動かした大英帝国がその没落の中で生み出した最高のものではないのか?イタリアにもフランスにもドイツにも、英国のそれに比肩できるものは見当たらない。やはりかつての大帝国が崩落したハンガリーとオーストリアには似たものがかすかにある。

実際、英国式に生活していると、その人の実際の収入は見えません。服も流行り廃りのないかなり高品質のものを長年にわたって着る。たぶん、私は死ぬまで新しいタイとかセーターとかコートを買う必要がありません。ティーカップの類を買う必要もない。料理もお茶も珈琲も自分でやっている。外食もあまりしない。移動は自転車。住んでいるところも一軒家ではないので修繕費用も気にすることはない。

今の状態で一切合切ひっくるめて月14万円で生活できる。それでも60歳で定年したとして、80歳代後半で退職金は使い切ることになるでしょう。

なので、うちへ来る30歳代、40歳代には、できる限り早い時期に『英国流の金が出て行かない優雅な生活スタイルを確立させてしまう』ように薦めています。

うちの自転車に乗っている女性の方で、私にならって自動車を手放されたと言う方にお会いしました。

私も自分でクルマを運転することはいまやない。そのかわりタクシーを使う。地方へ出かけるのにも鉄道とタクシーです。関西などでも新幹線で行き、その先はタクシーなわけですが、そういう具合にやっていても、確定申告のことで調べてみたら、年間たった94850円でした。自動車の月々の駐車場代にもならない。

私はロンドンではブラック・キャブのへヴィ・ユーザーでしたが、あの広く天井の高い車内で街を眺め、好きなところで乗り捨てる感じはじつによかった。実際、お金が湯水のごとくにあったら、古いタイプのブラックキャブを日本へ持ってきて、運転手付きで利用し、駐車場さがしから洗車、磨き、整備の一切を運転手に任せるのが正解だと思う。日本橋で買い物、携帯電話一本でデパートのところまでブラックキャブが来る(笑)。途中で「ああ、ちょっと珈琲を飲んでゆくから」と荷物をキャブに残して、私は降りて一服。「パーキング見つけて、、」などというのは運転手の仕事だ(爆)。なければ走り続けているか中で居眠りしていればよい話。自家用車につきまとわる面倒は整備、洗車、車検、保険にはじまって、故障、渋滞、乗っていてもパーキング探しなどはじつに鬱陶しい。そういうことからも解放されたい。

しかし、私の場合、自動車など毎日使うわけではないので、そういう『妄想』も却下(笑)。

よい自転車が一番(結局そこか、爆)。

実際、その程度のスタンディング・コストなら、私の場合、自転車などスッパリやめてしまって、1か月2~3日英語の方で働けば食べて行かれる。あとは自転車で徘徊していればいいこと。

確定申告の時、うちのほうは、だいたい特別に税理士の相談員が助太刀で提出場所のところに10人ばかりいる。数年前、そうした手伝い税理士の一人に言われたことがある。
「ずいぶん利が薄い御商売ですね。」
税理士先生が言うんだから確かだ。私もそう思う(笑)。じつは会社員時代、私は簿記学校へ夜学で通っていたことがあるので、自分でもわかる。

オマエの知ったことか、と思いましたが、屈折している私はとぼけて、
「ええ。自転車制作者として後世に名を残そうと思って、損得抜きでやりはじめました。」
「ずいぶん割が合わないですね。もっとこういう仕事は儲かるのかと思っていました。」
彼の素直な感想だったのかもしれませんが(笑)。

「売れ筋のものを作り、親が残したノウハウ、販路、工場や土地でやっていればもっといいのかもしれませんがね。私はいまのところ、まったく無名で、世の中に知られていない状況ですからしかたがありません。もう少し頑張ってみようかと思って。」
「たいへんですね。『R&F号』がいつの日にか町を走るのを楽しみにしています。」
税理士先生バカにしまくり(笑)。
「いや、すでに走っているんですよ。28号とかバルケッタとか言われて。今度、ググってみてください。ブログも4000ページほどありますから。残念ながら本の方は完売御礼で入手できないんですが、台湾の博雅書屋から出ている翻訳本は手に入るはずです。台湾の大学の論文にもずいぶん引用されているようです。」

これっ、抑えて抑えて、隠居じゃ、隠居(爆)。

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