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Channel: 英国式自転車生活
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1920年代のアップハンドル

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アップハンドルのポジションのことをよく訊かれるので、1920年代の写真をいくつか載せておこうと思います。

人間は楽な方へにじりよりますから、どうしてもアップハンドルにすると『直立に近くなりがち』なのですが、私は実際、自分の車両はやや前傾ぐらいにしている。

上の写真にある右から3枚目の『クラブマン・スタイル』よりかすかに状態が起きているぐらい。

そのポジションだと手のひらにかかる体重が、アナトミック・グリップで緩和されるので、1920年代のクラブマンスタイルよりかなり楽です。

身体を垂直近くにするのは、日本では「天神乗り」と言われています。英国では「打ち込みボルト」と言っている(笑)。真っ直ぐボルトをねじ込んだ感じ。

打ち込みボルト式でやると、肩がハンドルのところへ行くのに肩を丸めてしまいやすく(右から2番目、実に悪いポジション。ハンドルも近すぎる。脚だけで回す感じになる)、こうなると胸郭が狭まり、呼吸の取りこみ量が少なく、まったく『高性能』は期待できない。英国だとおまわりさんがよくこの乗り方をしていました。

それよりもう少し前傾すると、へヴイ・ロードスターのポジションになります。これも楽ですが、このポジションで具合がよいのは60~80kmまで。サドルへの加圧が過大になりがちなのです。また脚でトルクで回す感じになる。写真ではタウンでのポジションと書いてありますが、英国のタウン乗りは、文字通り『タウン』で使い、そこから衛星都市状態にある村まで行く。それはだいたい一日での乗り方で60~70kmぐらいが最も多いだろうと思う。

4枚目の写真を見てイメージすると、より速く走ろうとするなら、わずかに前傾が強まる。逆に言うと、そういうポジションをとることで、『自転車にせかされる』感じがする。そういうことから一切解放されて歳をとったら楽しみたいと思った。

私が仙人クラウドで、「これで180kmなどは走ることはない。そういう使い方をしない」と割り切って、かなり上体を起こしたのは、私の年齢で今後10年、20年で楽しみ方を変え、別の道を歩むつもりでいるからです。それをどう使うか?のソフトのほうが今は関心がある。

距離を伸ばすにはもう少し前傾にして、サドルを前進させる必要がある。

イメージとしては、中距離走の上半身の前傾姿勢(右から4番目)ぐらいにして、ポイントは脚の全体がぺダリングで使えるようにへヴイ・ロードスターのポジション(右端)よりサドルを前進させる。

つまり「クラブマン・ポジション」をアップハンドルでやった感じに近い。

これが押さえられないと、ふとももばかりが疲れたり、膝の裏、膝から下が疲れます。

これは自ら微調節して、自分でつかむしかない。

左から3枚目はドロップの上を持った状態に近いですが、『空気椅子』のようで、中高年には長時間このポジション維持はつらい。1時間この姿勢でじっとしていろと言われたら、腰も首も肩も耐え難く痛くなる。しかし、多くの雑誌がこれで『サドルに重さをかけず、ハンドルは握りしめず、軽く手を添え、ペダルをクルクル回せ』と言っているわけですから。私は中高年には不合理なことだと考える。

つまりうちでやっているポジションは、『ありそうで、過去になかった』やりかたなのです。そして、クラブマン・スタイルのドロップの下を持つ替わりに、両手でバケツを持ちあげるような感じで、真下へ踏み込む。

私はグラント・ピーターセンの車両を見ると、彼がやはりヘッドチューブを伸ばし、偶然、ほとんど同じような結論に達したと、考えています。

このクラブマン・ポジションには、私はなにか深い真実があると思います。メルクス時代のロードにメインに乗っていた私がはじめて英国でこれを試し、「あっ、乗りやすい」と思った。持って帰ってきたラッジをイタリアもの専門の人に乗せたら、彼も開口一番『乗りやすい』と言った。

1990年代末に英国のBBCで1920年代の自転車を楽しむ人たちの様子が放映されたことがあり、楽しそうなので、自分も一度乗ってみたいと思った人たちが万の桁であった。その中で実車に乗ってみて、「どうして現代の自転車より楽なんだ?」とその会に入会したいと思った人たちが5000人も出た。

その動きから、ツイードを着て自転車というムーヴメントが派生したのです。

ついでに1920年代のレーサーのハンドルの写真も出しておきます。上を持った時の上半身は、いまのドロップよりかなり休められる。ドロップのツーリング車とほぼ同じです。

右から2番目はほぼ『垂直ボルト式』これでは長距離は絶対無理。悪い見本です。サドルの高さもよくない。

一番右と右から4枚目を較べると、サドルにずいぶん一番右の人は体重をかけているのがわかる。これはやはり長時間もたない原因になる。4番目ぐらいにしておくと、普通のランニングポジションに近いので、首や腰などの、どこか一か所に局部的な痛みがたまらないという理屈です。

右端のような調整では80kmを超えるぐらいから徐々に太ももの前と、膝から下に疲れがたまる。しかし、130km以上乗らず、上半身の疲れで走行がつらくなる人には、こういうポジションもありでしょう。仙人クラウドで上半身のどこかが痛くなることは100kmまでの走行ならまずない。

逆に言うと、『たかが100kmぐらいで股間や首や肩、腰が痛くなるドロップや一文字ハンドルなら、そんなものはやめてしまえ』と考えている。

3枚目の調整を見ると、現代の車両ではこんなにステムがあげられませんね。でも、腕の短い日本人がこの人と同様の胴体のポジションにするには、ハンドルをもう少し出す必要があります。

左から3枚目、4枚目のように白い部分をペダルに見立てて乗ってみると、白い部分から落ちずにバランスをとるには、こうした上半身の相対的な位置に来ざるおえないということがわかります。その白い台から落ちないでいられる可動範囲があります。この2つの台は実際のクランクの長さに合わせて置いてあります。

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