暮れの押し迫ってきた30日、都心を自転車で走ると『世の中がちょっと違った視点』から見える。
昔は電車か自動車で都心にいましたから、あまりそういうことは考えませんでした。
「電車に乗り、駅で降り、整然とぞろぞろゆく雑踏に入る」、これは「人の川」に入る感じ。あまりその雑踏の全体像が見えない。
自動車に乗っていると歩行者より視点が低い。しかもやはり「道路ベルト」の流れの中に居る。街中を歩いている人たちと自分を「隔てるカプセル」の中に自分がいる。そのカプセルに「レッテル」が貼ってあったりするわけです。
歩行者はその『カプセル』を羨望のまなざしで見たり、怨嗟を持って眺めたり、さまざま。
自転車での移動はそのどちらからも違う位置にいる。流れの中にはいない。
ここ数年、ロンドンへわざわざドバイのライセンスプレートの超高級車に乗ってきて、見せびらかすのが流行らしい。トップ・ギアの元司会者、ジェレミー・クラークソンがロンドンでスーパーカーに乗っていると唾を吐きかけられるオーナーが多いと番組で言っていた。たぶん、貧富の差が拡大し、英国の場合、自国民はまずほとんどそういうものに乗っていないので、状況が特殊なのだろうと思う。また、そういう車両が炎上したり、ドアが閉まらなくなって立ち往生しているゾンダなどの動画がたくさんアップされているので、必ずしも讃嘆するのから写真を撮っているわけではないのがわかる。
90年代末まで、ロンドンでそういう光景を目にすることはまずなかった。日本もこれからそういう具合になってゆくのか?昨日はじつに多くの超高級車を数多く見かけた。近年最多。値が上がっているので、「投資としてしばらく持って、値が上がるまで乗って遊んで、転売して儲ける」と言う乗り方の人もけっこういるのだろうと推察する。北米製巨大四駆が十数台路上に並んでラーメン屋の前に停まっているのも見た。
一昨日は勝鬨橋の上で燃えた超高級スポーツカーもあって、しだいに起こる出来事もロンドンに似てきている感じがする。ちなみにロンドンでやたら燃えているのは数の上では最近の濫簿が多い。カーボンファイバーは「炭素」とエポキシでどちらも燃えやすい。アルミもよく燃えますから。あとゴムも燃える。プラスチックもよく燃える。
都心徘徊。起点は代々木八幡だったのですが、この先は『春の小川』のモデルになった川が流れていたところ。いまだに「地形的にのどかな感じ」が自転車で走ると感じられる。代々木公園以外はセメントの海ですが、それでも自転車だとなんとなく感じられるものがある。
そこから表参道へ出るのですが、自転車で移動してみると、「ある意味かなり変わった場所である」というのがはっきり感じられる。昨日、渋滞しているのを見たのはあそこだけ。歩道も人がひしめいていて、『世界終了のカウントダウンを叫んでいるクルマ』がいたり、テレビの新番組をがなりたてているトレーラーがいたりする。超高級車が自転車走行帯をふさいでいる。帰省で道路が混んでいるので都心へ来ているのでしょう。
I病院のところでMAIセンの方向へ左折して裏道を行く。阿武打羅君御用達の美味いケバブ屋台があったのも、とうにない。左手のFLOも気が付けば「星跋扈」に変わっている。地方から3千円握りしめてはじめて出てきた若者は「ああ、やっぱり星跋扈、こういうところにあるんだぁ~~、おしゃれ~~ぇ!」と思うんでしょうな。
むかし、MAIセンの男性給仕長が渋谷のデパートへ配属替えがあって、私を見るなり最敬礼されたことがあった。Iセンと言っていた頃から知っている。あそこの風呂天井が欧米人に珍しがられたので、十人ぐらいの大所帯をいつも連れて行っていたので印象に残っていたのだと思う。痛風恐怖症の今は素通り(笑)。肉も「いくらとしゃけの親子丼」も痛風をやったひとにはコワイ。
外苑前まで抜ける途中で古い神社で茅の輪くぐり。今回見たかったのは新国立競技場の予定地。
う~~~~ん。圧迫感ありそう。このあたりの「ひろがる大気感」はなくなるだろうな。
そのまま四谷まででて、そこから早稲田まで走る。穴八幡へお参りして、喫茶店へ。しばし学生街の風情にひたる。そこから新宿へ。途中古い神社のわき数メートルのところを通ったのですが、同行していた一人が、
「OINARIさんは怖い。」
とポロッと言った。社の入り口で言ったらまずいな、と思ったのですが、そのあと何十年かぶりで「キツネに化かされた」。彼を千代田線の駅まで案内して、さて帰ろうと思ったのですが、どうやっても同じところに戻ってきてしまう。「オレはいったい何をやっているのかな???」と自問するも、ダメなのです。笹塚ー幡ヶ谷ー代々木―明治神宮はかつての地元で絶対迷うはずがないのですが、どう走っても代々木上原へ戻ってきてしまって、もとのOINARIさんの社のほうへ行く道を自転車が向いている。
じつは、青梅街道でもうひとかたと別れた後、小休憩のとき、胸ポケットに入れた紙幣数千円がどこかへなくなっているのに気が付いた。くわえて行かれたのかな?
あのあたりは宿場のはずれだったので、かなり古い神社やお寺、HAKABAがビルの谷間にあります。けっこう湿った感じに古い。夜などは暗さが深い印象の場所がある。
さまざまなスポットのある東京です。