私の父は、よく仕事が終わると庭の温室でぽや~っとしていたものでした。最初のころは蛍光灯をつけていたのですが、ある時、山小屋にあるようなランプを買ってぶらさげていた。
父は山をやっていたので、ランプにことのほか思い入れがあったのかもしれない。
このあいだの名月の時は、ロウソクのランプでしたが、どうも風情がいまひとつだな、とオイルランプをぶらさげた。
引っ掛けたところはステンレスの物干しかけだし、上はセメント。安全です。
オイルランプは瞑想的です。明るさは15Wか20Wぐらいのものです。それが丁度いい。ガラスに入った気泡が星雲のように見える。昔は灯油を入れて、臭いもススもけっこうあったのですが、液体パラフィンを入れると臭いもススも出ない。綺麗なものです。
空には満天の星。ランプのガラスには星雲の泡。ウイスキーなど飲みつつ、最高の時を過ごす。あたりの闇からコオロギの声が響く。
縄文人は巻貝のなかにひもを入れて、油を入れ、ひもで吊って灯にしていた。
そういう太古の昔からの記憶が火への郷愁を呼ぶのかもしれない。
山では、巨大な大自然のもとで、仲間と語り合ったのでしょう。人間は所詮、自然の一部、自然に生かしてもらっている。そういう自然のふところにいる幸福をランプは感じさせてくれます。
硬くなった芯をバーナーの曲線に合わせて丸くカットする。炎を大きくするとガラスが割れます。これはガラスに水滴がついていたりしても同じ。凝ったものは高価ですが、この明るさなら、それほど作行きは問題ではない。私は傘がアルミの実用品でもかまわない。日本製であればOKです。