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Channel: 英国式自転車生活
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直せないもの

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インドへ行ったとき、かの地では100円ライターの石を替え、ガスを入れて再生しているのでビックリした。日本でそんな危険なことをする人は居ません。

そんな彼らもクオーツの腕時計だけは敬遠した。「これは修理できないからダメだ」と。

そこから考えると、電子部品満載の自動車も敬遠するでしょう。

2年前、ボードマンがよくタイムトライアルで使っていたマヴイックのメカトロニックの電気信号変速のセットを買わないかと言われ、熟慮の末にやめた経緯があります。

あれはたまに誤作動することが知られていた。それは個人レベルでは原因究明できないでしょう。それがバグによるものか、静電気によるものか、接触不良によるものか、集積回路の不具合か、まず解明できない。改造しようにも、そんなカスタムICは作るのに1千万円の桁の話になる。

コレクションで持っていてもはじまらない。

これは、自動車もその多くが修理不可能になってゆくだろうと思う。昔の物なら、いくらでも修理が可能でした。『発動機換装』というエンジン乗せ換えも可能だった。今の車両では電子回路が入っているので無理でしょう。

私の持っていたローヴァ―は、エンジンはランドローヴァ―やMG-CーV8と同じ、パワーステアリングはRRと同じものでした。スイッチ類はタンブラー型で、他の英国車の多くに使えた。あちこちに再利用可能部品がありました。

さて、自動車の場合、ドイツの物のように材料を再利用するのと、かつての英国車のように、部品をすべてそのままリコンデイションして修理用にたらいまわしにしてゆくのとどちらが環境負荷は小さいのでしょう?

自転車の場合ははっきりしていると思う。うちの1920年代のローズは、タイヤもベアリングも、ブレーキシューも、サドルも、すべて現代のパナレーサーとか、吉川のブレーキシューとか、ホシスポークとか、三ヶ島ぺタルとか、その気になればすべて使える。私はこういう規格は残すべきだと考える。

90年以上前の自転車の補修部品に、現代の物がそのまま使えるというのは素晴らしいことだと思う。

古いからダメか?というとそんなことはまったくない。河岸で使っている実用車などでも、むしろあれでないとダメなわけで、サドルのバネ乗数を変え、リアの巻付ドラムブレーキを、『新開発のロッドで引けるディスクブレーキにでもすれば無敵でしょう。そういうブレーキならシテイサイクルにも使える。

昨日は洗濯機を自分で修理した。もうダメで、3万円か4万円は逃れられないか、と観念しましたが、うちは構造の簡単な2槽式しか買わないので、ちょっとやってみるか、と2時間ばかりかけて直しました。

これは全自動だったら絶対に無理だった。前のやつは全自動で、なぜか排水、給水、洗いなどの順番が狂い始め、まったくお手上げ。

私のやっていた精密機械でも、電気回路は含まれていましたので、2槽式の単純なスイッチのものなら難しくない。まあ、分野は違うけれど、こちらは業界用語でいう『半プロ』ですから。

今の機械や製品は、出来る限りこの『半プロの存在を許さない』ように製品を作る。

家電はほぼ完全にやられてしまった。炊飯器やトースターすらも電子制御に液晶表示でどうにもならない。ラジオも、私の世代はスーパーヘテロダインぐらいは自作したけれども、携帯でラジオを聴くようになったらもう手も足も出ない。

ここで、世の中逆転が起こっているのです。『ラジオがなぜ聞こえるか?という理屈がわかって、スーパーヘテロダインが組み立てられる人間』が『何も理屈がわからなくても、メーカーのマニュアルを丸暗記して最新型を使いこなせる人』に負ける時代になってきた。

じつは、自転車は、そのところで、『最後のせめぎあい』をしている分野だというのが私の印象です。

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