その昔、アレックスのところでパーティーがあった時、お客の一人がアレックスにじつにいい質問をした。
「アレックス。昔の自転車選手と言うのは、もうヘラクレスのように首も筋肉も太く、手のひらも胸板も厚かったものだが、最近の選手はどうしてあんなに痩せているのかな?」
脇で聞いていて、これはいい質問だと思った。
「それはじゃな。昔は筋力で乗った。今は身体全体のパワーで乗る。だから筋肉はさほど必要ない。」
その質問した英国人は、
「わからない。筋力で乗るのと身体全体で乗るのはどこがどう違うのか?もう少し詳しく説明してもらえないだろうか。」
「つまり、ちからまかせにペダルをこぐ『ゴリラ・ライダー』を考えてみたらいい。それが筋肉で乗る乗り方じゃ。しかし最近の選手はもっとスタイリッシュにこいでいる。」
私は聞いていて、それはどうかな?と思った。ドーピングでツールを前人未到の連覇したひとがいるくらいです。昔には不可能だった心肺機能の使い方で筋力に頼らず『回転トルク』で乗れるようになったから、イノーやレモン以後そういう痩せ型体型が増えたのだと思った。リシャール・ビランクやアームストロングのように電気モーターのように山の上までこいでゆくなんていうのは、ドーピング無しには不可能な乗り方。血液ドーピングなどで息が切れなければ、むしろ筋肉のない軽い身体のほうが登り坂では有利になる。
アンクティルもイノーもレジナルド・ハリスも、たいへん滑らかに乗っていてゴリラライダーではないが、ヘラクレス体型に近い。一方、コッピやジャン・ロビックはかなり荒い乗り方だが、細い。
ひとつには短距離走型の速筋と持久走型の遅筋との、量の比率ということがある。100m走で速筋の筋肉量が少なかったら勝てない。この筋肉の配分具合は遺伝的なものや出身地方が大きく関係する。
私は知らなかったのですが、英国にいるアフリカ系の人たちは短距離走で足が速くない。それはかつての英国領だった東よりの地域の人たちは伝統的に速く走ることが生活で必要なかったからだというのです。
アフリカの中でも足の速い人を輩出した地域ははっきりしている。
もうひとつ。「ダッシュを頻繁にかけている人」は速筋が増えてくる。また、もとからある程度体重があるひとがその体重を動かそうとすると、どうしても重い物を動かすわけですから、筋肉は太くならざるおえない。
なので、ある部位を細くしたいと思ったら、そこをよく動かし、その部分の脂肪を減らし、かつ「ダッシュ的な運動でなく軽い負荷で速く長時間、多く動かしたほうがいい」。
そんなことをふと書き始めたのは、フィギュアスケートの選手権を見たからでした。
私はスケートで使う筋肉と自転車で使う筋肉は似ていると思う。両分野掛け持ちしている選手も少なくない。また見てのとおり、スケートの選手でも2種類の体型の選手がいる。まおさんとあきこさん。昨日は細型がシッカリ型に負けましたが、これは本来、どちらも個性であってどちらの体型のほうがこの競技に向くということは言えない。しずかさんもシッカリ型ではないか。私はどちらのタイプも美しいと思う。
賢明なスケート・ファンは『スケートで痩せる』とか『スケートで脚が細くなる』とかは言わない。スケートの雑誌でそんな馬鹿な特集を組んで部数の売り上げを伸ばそうなどとしたことを聞いた事がない。
しかし、自転車の出版物ではそれがよく行われる。もともと自転車になんか乗っていなかった痩せたモデルを連れてきて表紙に載せる。
私の老母は若い頃から一貫して体重は40kg前半でした。それが70歳ぐらいを境にして、筋肉量が落ちてたいへん歩行能力が落ちた。ついに車椅子生活。一方の祖母は踊りをやっていたので最後まで歩行は問題なかった。
最近、都心を歩いていると、若いのに本当に異様に筋肉量の少ない女性を見かけます。飢餓地帯のこどものようにふとももより膝頭が大きかったりする。
あれでは歳をとったら歩けなくなって寝付くのではないか?と思う。
むしろ、自転車に乗っている人は、ほかの運動をやっている人や選手に較べても、歳を取っても、肺活量が落ちず、筋肉が落ちないことが知られている。
速くなくとも、痩せなくとも、健康でいられて、高齢まで楽しめ、日頃のストレスが消える自転車という側面をこそ啓蒙するべきではないのか。
たまに「脚が太くなったら嫌なんです。自転車って脚が太くなりませんか?」と言ってくる人がいます。そういう人たちには思いっきり言います。
「無駄な脂肪は落ちて最初は細くなります。そこからしだいにシッカリ筋肉つきますよ。筋肉量少ないと、高齢者になった時歩けなくなりますよ。アラカワシズカさんだってスズキアキコさんだって、シッカリ筋肉ついててカッコいいじゃないですか。筋肉がついて健康になって、何か不都合なことあるんですか?」
ヤ・セ・ス・ギ。
「アレックス。昔の自転車選手と言うのは、もうヘラクレスのように首も筋肉も太く、手のひらも胸板も厚かったものだが、最近の選手はどうしてあんなに痩せているのかな?」
脇で聞いていて、これはいい質問だと思った。
「それはじゃな。昔は筋力で乗った。今は身体全体のパワーで乗る。だから筋肉はさほど必要ない。」
その質問した英国人は、
「わからない。筋力で乗るのと身体全体で乗るのはどこがどう違うのか?もう少し詳しく説明してもらえないだろうか。」
「つまり、ちからまかせにペダルをこぐ『ゴリラ・ライダー』を考えてみたらいい。それが筋肉で乗る乗り方じゃ。しかし最近の選手はもっとスタイリッシュにこいでいる。」
私は聞いていて、それはどうかな?と思った。ドーピングでツールを前人未到の連覇したひとがいるくらいです。昔には不可能だった心肺機能の使い方で筋力に頼らず『回転トルク』で乗れるようになったから、イノーやレモン以後そういう痩せ型体型が増えたのだと思った。リシャール・ビランクやアームストロングのように電気モーターのように山の上までこいでゆくなんていうのは、ドーピング無しには不可能な乗り方。血液ドーピングなどで息が切れなければ、むしろ筋肉のない軽い身体のほうが登り坂では有利になる。
アンクティルもイノーもレジナルド・ハリスも、たいへん滑らかに乗っていてゴリラライダーではないが、ヘラクレス体型に近い。一方、コッピやジャン・ロビックはかなり荒い乗り方だが、細い。
ひとつには短距離走型の速筋と持久走型の遅筋との、量の比率ということがある。100m走で速筋の筋肉量が少なかったら勝てない。この筋肉の配分具合は遺伝的なものや出身地方が大きく関係する。
私は知らなかったのですが、英国にいるアフリカ系の人たちは短距離走で足が速くない。それはかつての英国領だった東よりの地域の人たちは伝統的に速く走ることが生活で必要なかったからだというのです。
アフリカの中でも足の速い人を輩出した地域ははっきりしている。
もうひとつ。「ダッシュを頻繁にかけている人」は速筋が増えてくる。また、もとからある程度体重があるひとがその体重を動かそうとすると、どうしても重い物を動かすわけですから、筋肉は太くならざるおえない。
なので、ある部位を細くしたいと思ったら、そこをよく動かし、その部分の脂肪を減らし、かつ「ダッシュ的な運動でなく軽い負荷で速く長時間、多く動かしたほうがいい」。
そんなことをふと書き始めたのは、フィギュアスケートの選手権を見たからでした。
私はスケートで使う筋肉と自転車で使う筋肉は似ていると思う。両分野掛け持ちしている選手も少なくない。また見てのとおり、スケートの選手でも2種類の体型の選手がいる。まおさんとあきこさん。昨日は細型がシッカリ型に負けましたが、これは本来、どちらも個性であってどちらの体型のほうがこの競技に向くということは言えない。しずかさんもシッカリ型ではないか。私はどちらのタイプも美しいと思う。
賢明なスケート・ファンは『スケートで痩せる』とか『スケートで脚が細くなる』とかは言わない。スケートの雑誌でそんな馬鹿な特集を組んで部数の売り上げを伸ばそうなどとしたことを聞いた事がない。
しかし、自転車の出版物ではそれがよく行われる。もともと自転車になんか乗っていなかった痩せたモデルを連れてきて表紙に載せる。
私の老母は若い頃から一貫して体重は40kg前半でした。それが70歳ぐらいを境にして、筋肉量が落ちてたいへん歩行能力が落ちた。ついに車椅子生活。一方の祖母は踊りをやっていたので最後まで歩行は問題なかった。
最近、都心を歩いていると、若いのに本当に異様に筋肉量の少ない女性を見かけます。飢餓地帯のこどものようにふとももより膝頭が大きかったりする。
あれでは歳をとったら歩けなくなって寝付くのではないか?と思う。
むしろ、自転車に乗っている人は、ほかの運動をやっている人や選手に較べても、歳を取っても、肺活量が落ちず、筋肉が落ちないことが知られている。
速くなくとも、痩せなくとも、健康でいられて、高齢まで楽しめ、日頃のストレスが消える自転車という側面をこそ啓蒙するべきではないのか。
たまに「脚が太くなったら嫌なんです。自転車って脚が太くなりませんか?」と言ってくる人がいます。そういう人たちには思いっきり言います。
「無駄な脂肪は落ちて最初は細くなります。そこからしだいにシッカリ筋肉つきますよ。筋肉量少ないと、高齢者になった時歩けなくなりますよ。アラカワシズカさんだってスズキアキコさんだって、シッカリ筋肉ついててカッコいいじゃないですか。筋肉がついて健康になって、何か不都合なことあるんですか?」
ヤ・セ・ス・ギ。