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言葉の重さ

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宮崎駿氏の「風立ちぬ」がヴェネツィア映画祭で受賞をのがしたようです。映画に関してはさんざん書庫の「古本棚」に批判を書きましたので、新たには書き加えません。

「実在した人物の名前そのままで、デッチあげの伝記のストーリー」に受賞させるほど、ヨーロッパの批評家は甘くはないと言うことでしょう。

さらに、恋愛ストーリーとして、ヨーロッパ基準からすると、まったく面白くない。主人公のカップルもヨーロッパ的にはまったく魅力が無い人物像に見える。女性の個性が「希薄すぎる」。ジョン・ゴールズワージーの「サマーストーリー」が映画化されたとき、主人公の男性像があまりに「ダメな男」なので、煙たがられた。映画の中の堀越二郎はそれよりもっとダメに見える。

海外ではロジャー・ムーアのボンド映画が、ほとんど上映が難しい。彼の女性に対する映画の中でのありかたや態度が現代のヨーロッパ基準で『不可』なのです。

その意味で「風立ちぬ」は最後の20分で、カップルで来たヨーロッパの聴衆は興ざめすると思う。

前にも書きましたが、前半の40分ぐらいまでの絵はたいへん美しいと思う。ストーリーなどなしで、黒澤明の「夢」のようにイメージのオムニバスにでもしたほうがよかったのではないか?

西洋での男女間の言葉の重さ。あるいは「過去を正確に語る」ことの重要性。これを読み違えているとしか思えない。

同じことは、オリンピックの招致に関する首相の言葉にも言えると思う。「私が保証する」と言う一言で招致は実現したかもしれないが、今後7年間に、ゲンパツ敷地内での汚染状況、地下水に流れ込んでいる汚染水の実体、さらに開催までの今後7年間に、低線量被曝による影響の表面化が進んだ場合、この「保証する」と言う一国のトップの一言は強烈な拘束力を将来持ってくるだろうと私は思う。

それが海外から「虚妄の安全約束」とみられ、国のメンツを失わないようしっかりやって欲しいものです。

英国の高級紙では「汚染水問題は(日本の)人々が信じている以上に深刻な状況」と書かれています。「汚染水」と言うと表現が和らぎますが、英語では、「放射能に汚染された毒水」(Toxic water)と書いている新聞もある。認識ギャップのない国際行動でありたいものです。

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