もういまから十四年ぐらい前の話ですが、うちでやっていた古い車両での走行会にもっと「グループを組まず独力でやっている人たちにも声を掛けてみよう」という話が出たことがありました。
その時、私が「この2人はどうか?連絡付かないかな?」と探したことがありました。
英国の車輌ではない。英国の靴ではない、英国の帽子ではない、しかし、そこにみなぎるパターソンを尊敬して、そのスタイルでやっている本格の気品と凄みはひしひしと伝わってきました。
「この2方は、本物だよ。絶対期待を裏切られないと思うな。実際に走って練り上げられてきた筋金を感じる。」
残念ながら、調べてもらった人からは、もう亡くなられたらしい、と言う報告を受けました。お二方か、片方の方か確認は私自身ではできませんでしたが。残念なすれ違いでした。
このところ、メディアで、最高の車輌、最高の服を着ているのに、「借り着、借り物の感じ」が消えない人たちとは好対照だと思います。一瞬ニッカ・ボッカなのに「ゲートル?」と思ってしまうのも多々ある。この二人のニッカボッカは登山用品には決して見えない。自転車も乗り込んでそうとう錬れている。
「板に付いている」というのは、なかなかどうしてごまかしが利かない「年季と精進」が必要なものです。1986年の本です。