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Channel: 英国式自転車生活
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頚椎・腰椎を自転車で痛める場合

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本日、ある雑誌の九月号を立ち読みしていましたら、自転車通勤で大ブレークしたあの方が、首の痛み、肩の痛み、手の痺れで、ロードバイクに乗れなくなっているというのを知りました。なんでも一ヶ月自転車に乗っていないそうで、乗らなかったおかげでいくらか症状が改善されたと言います。医師の見立てでは軽い首のヘルニアだそうです。たいへんですね。お大事にとしかいいようがありません。

私なら1ヵ月乗らなかったら息絶えている。

乗ったらまた再発でしょう。やめておいたほうがよいと思います。再発を繰り返すうち慢性化して、レーザーなどの手術のお世話になる可能性がある。私の周りに5人ほどそういう人がいます。そのうち二人は完全に自転車をやめてしまった。また、一人は歩行困難になり、それがもとで気落ちして、抗鬱剤を飲むまでになってしまいました。

ズバッというなら、「そういう自転車はおやめになったほうがよろしい。」

よけいなお世話かもしれませんが、彼は「楽だ理論」をはじめとして、院プレ頼ダーなどによってたかってライデイング・ポジションを修正してもらっていたのではなかったのか?それでも「身体を壊した」というのは、寄ってたかってきた理論がすべて間違っていたことを疑うべきだと思います。

そもそも「楽だ理論」の彼は腰を悪くしているのではなかったのか?

「硬くて前へ出るプロ仕様のフレーム」とかを買って、半年でフレームが硬すぎ、膝に水が溜まって、病院で2度も手術をしてもらった人もいた。

いや、流布している通りのことをやって、身体を壊す結果になるビギナーのことを、私は心底気の毒だと思います。

そういう人たちが「一生乗り続けることなく、途中で降りてしまう」のも残念です。

このブログの最初に書きましたが、誰の理論についてゆくか?というのは実に重要なのです。回りを見回すと、50歳を待たずして残りの人生で自転車に乗れなくなってしまった人もいる。60歳になって、痛めた膝と腰のために自転車に乗れない人もいる。

その通勤人のかた、写真で判断すると、背骨、首が固いようです。手脚がみじかめなので、「ゆったりとストレスを吸収させる余裕の部分が少ない」。そういう人をこういうポジションで乗せたら、首や肩が痛くなって当然だな、と私は写真から思っていました。それは本人が言っているような単なる「加齢」の問題ではありません。

その方、仲間の方二人とある自転車メーカーへ行き、アップハンドルの車輌を見て、「こういう自転車には一番流行って欲しくないんです」とお仲間が発言しておられたようです。しかし、いまや、ご自分がそういう車輌に乗らざるおえなくなったのは皮肉です。私はドロップハンドルは誰にでもすすめてよいものだとは思っていません。ここに私と日本の自転車本出版関係者との大きな溝があります。

日本人の胴が長めで腕が短い体型で、「ラテン系の腕の長い人のようにハンドルを遠くして」、ブラケット持ちで、腕を宙に浮かしての「空気椅子ポジション」はものすごく腰に負担がかかるはずです。その親指への負担も大きいはず。

私も小学校5年の時からずっとドロップハンドルに乗っていましたから、ドロップ・ハンドルのポジションには一家言あります。私は半世紀近く乗って、腰も首も肩も悪くしなかった(腰だけは使いすぎるとやや経年劣化を感じますが)。

しかも、私と一緒に走ったことがある方はご存知と思いますが、つい最近まで「下しか握れない前傾の強いドロップで一日中走っておりました」(持っていたすべての車両が疾走型)。

それでも頚椎や腰を痛めなかったのはなぜか?と言われたら、アップハンドルと乗り分けていたから、ときわめて古いドロップハンドルの調整法をやっていたから、そして手首、肩、首にくる人間工学的に誤っている一文字ハンドルはすべて燃えないゴミとして捨てたから、と答えざるおえません。普段はアップハンドルで、「ここぞ」という飛ばす時だけはドロップで出撃していました。

ドロップハンドルがこの世からなくなることはないわけですから、死ぬまでにはなんとか、そういう戦前の調整方法と、それが可能な日本人向け寸法の自転車も製作して残しておきたいと思っています。

98歳を越える長命で、膝も脊椎も頚椎も痛めなかったオリンピックチャンピオン、故ラウッターワーサー翁と最後の別れのときの一言「オレの伝統は君が継げ」という約束を果たすためにも。

写真左の赤い車輌はCBの「世界選手権モデル」。3段クロスレシオのハブギアに、後ろに回すとブレーキがかかるトライコースター。中央は戦前のBATES BAR。右端は1930年代のラウッターウエイト。

自転車は「その乗り手のライディング・ポジションの型」をとったようなものですので、自転車を見ればそのひとのポジションが見える。左端のCBはどうにもトップ長が合わなかったのでバーをあおっています。ステムを短くするとステアリングがはやくなりすぎたので、そのまま。BATESはじつによく身体に合っていました。

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