『自転車の美』とか、さまざまに言う人がいますが、それは私は『きまぐれでも、恣意的なものでもない』と考えている。
現実、ある種の自転車は眼を引き、一般の人に呼び止められますから。それは一過性の物珍しさでもない。
もう40年以上、色のインパクトであるとか、補色の使い方、洋服のデザインで自転車に応用できるようなものを、スクラップしている。
いまどき、マルマンの布表紙のスケッチブックなど見たことが無いので、最近は普通のスクラップ・ブックを使う。
かつて、カール・ラガーフェルドがシャネルのデザインをやり始めた時、彼がシャネルと、その同時代のデザイナーの大量のスクラップ・ブックを作っているのを見た。
『ああ、なるほどな。やはり、そういう地道な努力の上に彼があるのだな』と感心した。
そういうものを持たないと、『自己模倣』に陥ったり、小手先でお茶を濁すことになるだろう。
残念ながら、自転車関係で、そうしたスクラップするほどの雑誌はなくなっている。
1週間ほど前、タイ国で、国王自らが先頭を自転車で走って、60万人の大サイクリング・ラリーがあったが、その写真を海外ニュースでみた。
そういう写真も『要スクラップ』なのだが、日本の自転車雑誌は取材班を送ったのだろうか?