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Channel: 英国式自転車生活
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頭の更新

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この歳になると、『疑いようのない正確な記憶、あるいは知識』というのがけっこう大切なことだとあらためて思う。

イメージ的に言うと、土台が傾いた上に積んでゆくのでピサの斜塔のようになる。人間の歩く歩幅が1cm左右で違っていると、砂漠などでは真っ直ぐ歩いているつもりでも、大きく弧を描いていたりして、曲がってしまう。

人の頭の中は『常に検証して、正しいことをインプットして、誤っていたことはデリートして行かないといけない』と思う。これは英語学習で嫌というほど思い知った。口語表現なども、的確なニュアンスで使えないなら、一切口に出さない覚悟がいさぎよい。

私がぽやっとこのごろ考えるのは、『しゅーきょーなどの基本情報の更新はやらなくていいのかな?』ということです。更新しちゃうと、しゅーきょーとして機能しなくなってしまうのかな?と考えたりする(笑)。

昔、四国に『大麦小麦二升五合』と唱えて、病気を治すので有名なお婆さんがいたそうです。ある時、おせっかいなお坊さんが、『それは金剛経のおうむしゅじょう。にしょうごしんの覚え間違いだよ(応無所住、而生其心)』と教えたら、おまじないがまったく効かなくなったと言います(笑)。

なんでこんな話を出したかというと、Youtubeのおかげで、さまざまなマントラ、真言、陀羅尼の発音が、海外版で聴くことが出来るようになったことがあります。

『のうまくさんまんだ~』は、どうも『ナマハ、サマンタ~』らしい。『ソワカ』は『スワ~ハァ~』らしい。お隣の国では『ソワカ』は『シャ~ハー』。人の名前でも『しゃりほつ』(舎利弗)はインドなどでは『シャーリープットラ』。


これは、師から弟子へ、間違いなく正しい発音で陀羅尼などを伝えなければいけない、と発音重視だったわけで、ならば、現代ではYoutubeを駆使して正しい発音に近づけるのが正しいのだろうか?『国別はどうなのか?』とインド、ネパール、チベット、ブータン、ミャンマー、タイ、ヴェトナムなどを聴き比べてみると、日本だけが大幅に違う。


このあいだ、たまたま般若心経をサンスクリットで読んでいるのをYoutubeで発見して、けっこう感心した。まったくイメージが変わります。インドの通奏低音でよく使われる楽器ビーナが、背後でビ~~ン、ビッホ~~ン、チャリラりラりラり~ンと鳴っていて、インド情緒たっぷり(笑)。


Heart Sutra in Sanscrit-Vidhya Rao


これを、もし、平安~鎌倉時代のお坊さんに『天竺での読経と音楽でござる』といったら、感動のあまり『おおっ!この調べは、伎楽天が弾いている音曲に相違ない』とひれ伏したのではないか?

30数年来の友人でネパール、チベット、ミャンマー、タイを転々としているのがいて、たまに論争を吹っ掛けられるので、こちらも調べることになる。そのうち、どうも、ミャンマーとかヴェトナムとかタイ、スリランカでよく読まれているお経は、日本ではあまり讀まれていないのではないか?という印象をもった。


たとえば『覚支経』ボンジャガ・スッタとか、『善生経』シンガロヴァダ・スッタとか、『無我相経』アナタラカナ・スッタとか、『大念住経』マハーサティパッタナ・スッタとか。文庫本とか新書では手に入らない。しかし、向うの人、あと英語圏・フランス語圏の人はこれらのお経をよく知っている。無我相経には、般若心経の『受想行識』の説明が書かれている。論争の都合上、私も買って読みました。

今年はあちこちで、このあたりの話をお坊さんにしてみたのだが、読んでいる人はいなかった。ヨーロッパや北米の人が『瞑想』をやるとき、大念住経などをもとにする人がほとんど。

さて、日本はどうするのか?いままでの伝統を、因習も含めて墨守するのか?あるいは、新しいところへ、伝統を脱皮させてゆくのか?


昨日はたまたま、高校時代の学友と電話で話したが、彼の先祖代々のHAKAを彼の兄が面倒をみるはずだったのだが、彼が独身で突然NAKUなったので、そこにある10基ばかりが宙ぶらりんなのだという。彼は次男で両親の場所は東京のREI-ENに確保してあるので、『音沙汰梨にする』のだという。

『どうして?』
『それは、大変だからだ。10基となると、HAかJIまいだけで、ひとつ100数十万円、えーたいKUよーと両方となると、その寺の相場を聞いて歩いたんだが、それだけの数となると2000万円をこえるだろうというんだ。とてもそんな金はない。村の人に訊いたんだが、むこうも死活問題だから、裁判を起こされてすごい金額が来た人もいる。』

世の中さまざまな寺があるものだと思った。

いま、だいたい、日本全国で、お寺はコンビニの数より2万軒ぐらい多いらしい。そのうちの4割がこれから先の20年ほどで消えるという。いまの若い世代でお寺へ行く人はあまりみない。親戚が集まるので連れてゆかれた人たちは、いまの30代後半ぐらいまでではないのか?そう考えると、これから先の20年間で、廃れて、消えて行くところは、かなりあるのだろうな、と感無量だ。


現代の社会問題、こころの問題、環境問題に明確で納得行く回答を示さず、海外との基本知識のすり合わせがおろそかになり、人生の節目で、ただ百万円級、1千万円級の請求を送って来るだけでは、だれも行かなくなるのは道理だ。しかも集まる時は誰かSHI-んだときだけというのでは、そんな陰気なところへは、みんな足が遠のくのは当然だ。

『頭の更新』が必要なときに差し掛かっていると思う。


写真は『スノーライオンと法輪』。スノーライオンは『雪獅子』とも言われ、ブッダや仏教徒を守る霊獣と言われています。チベットからタイ、ミャンマーぐらいまでは見られますが、日本では聞かない。私は最近はこうした『インドっぽいものが好き』。

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