あちこちに積み上げてある「課題」をどんどん片付けようと仕上げまくり。わずかな隙間時間で、頼まれレストアものもどんどんあげて発送している。
そういう未完レストアが視界に入っているのも鬱陶しく、フレームの仕事や組み立て作業の気力が落ちる。とにかく片付けて、どんどん出してゆかないと物を作る集中力がそがれる。ずいぶん出した。
これは『大業物』です。1930年頃の英国のフレーム。80年以上前にすでに英国はこういうことをやっていた。カットアウェイ・ラグ(魚のシッポのようなのでフィッシュ・テール・カットと言われていた。元祖イタリアンラグです)。一種の集合ステーはチューブの先を開いて、叩いて成形し、フタを貼らずに付けてある。ヘッド小物は「じかワン」で、1950年代のイタリアのレパルト・コルサのようになっている。
フォーククラウンはやはり元祖スローピング。
フランク・パターソンの絵の中の自転車の細部はこういう具合だったわけです。
英国でお城などに行くと、柵にペンキを塗りたくって、ものすごく厚い層になっている。彼らは自転車でも同じようにした。塗装がいたんでくると、当時は『ロボリック』という黒エナメルを塗っていた。
そうやって使われてきた車両は、このとおり、80年間サビもせず健康体で『伝世』する。剥離して再度防錆処理するとこのとおり。今作ったように元に戻る。フォークのコラムを見てもまったく錆びていない。
機械のありかたとして、こういう扱い方・使い方は他の国の自転車ではあまりない気がする。