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Channel: 英国式自転車生活
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トータルなもの

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いままでに乗った自転車の数は6000台できかないと思いますが、いろいろと考えるところがあります。

英国、フランスに年に2回自転車関係の友人・知人を20人ほど訪ね、そこで10台~20台の車両の試し乗りをしていれば、年間200台~400台乗っていたことになる。それを15年以上やっていたから、ひょっとしたら万の桁にとどいていたのかもしれない。

そういう中で、『自転車は部品ばかりではない』というのをつくづく感じる。

最も高い部品で組んだのがダメな場合は非常にしばしばあった。自転車というのはトータルバランスのもの。『乗りよくするためにあえて部品をワングレード落とす』というのも立派な設計です。

BATESのB.A.R.(Break Al the records,全記録ぶち破り)には、最高級のチェイタ・リーのクランクが入っていた。良く出来ているのですが、BATESのカンティフレックスのフレームには固すぎた。競技に使うならいざ知らず、ツーリングには向かない。そこでグレードを落としたクランクをあえていれた。当時の写真で検証すると、100マイルのレースにはそう言う組み換えをしている人が目立った。

みんな、身体に正直なると、同じようなことを考える。

クランクの固いのは私は嫌いです。本当は私は自分の乗っている2号車には角テーパー時代のカーボンのケンタウルを入れるつもりでいた。いまでは入手困難だし、ギアリングも好みのギア比のものが難しいので見送った。アンジェロがいたころ、彼は私のところにアウター48Tのカーボン・クランクを送ってきてくれたので、本当は対応できる話なのだろうと思う。

あんまり、人が出来ないもの入手できないものを自分の私用にするのはいかがなものか、と思ってやめた。

さらに言うと、自転車は本当はブランドも見えず、細部が全体に溶けて、部品が浮かび上がって見えないのがよい。

右端の自転車など、まさにパターソンの絵そのままで、ハンドルバーのメーカーも、ステムのメーカーも、リムのメーカーも、フレームのメーカーも、普通のマニアには一切がわからなく見える。「ちまちました細部が主張せず、全体の存在感だけで勝負している。こういう自転車は現代では見なくなりました。左側のチェンステーの処理は美しい。また乗っても絶品でした。こんな手間のかかることをやってくれるメーカーは今はないでしょう。これもペダルの左右のファクターを徹底的に詰めてふみ心地を向上させるための設計。

現代の『ラウッターワッサー型』と本物の英国の『時代物ハンドル』がいかに別物かよくわかると思う。これはベント部を持って肘を絞りこめ、タイムトライアルで前面投影面積を減らし、かつ、もがいたとき手首がハンドル上部に当たらないで逃げる。そういう実戦の知恵のないものは所詮『なんちゃって』だと私は考える。そもそもこの形状のハンドルを使用するには、専用設計の寸法のフレームが必要なはずだ。

こういう実車、10台~20台で100km、150km走った経験のない人には作れないだろうと思う。

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