連休最終日、ビギナーの遠乗りを引率して、湧水を巡り、自転車で野点など、と旧知の松ちゃんに頼まれた。
ある廃校を自転車ステーションにする計画で、その初イベントをやってほしいとのこと。ビギナーということなので、みなさんどのくらいのペースで走れるのかわからない。じゃあ、仙人クラウドで行こうということになった。
仙人クラウドの初仕事です。
「何人ぐらい来るの?」
「10人ぐらい。」
げっ!それはみなさんボトルやカップ持参のはずはない。もちろんバーナーのたぐいもあるはずがない。つまり、10人分の水とカップとお茶道具と、お菓子を、私が御殿女中のように持ち、大自然の回遊式庭園へ乗りだしてゆくということ(笑)。
「くんなことで音を上げる仙人クラウドではない」(爆)。0・6kgの固形燃料、万力のように重い鉄瓶、やかん、アルコール燃料、10人分の水、お菓子、皿、柿の木の盆まで持ち、工具も一式持って出かける。
東京に大地震が来た時に、生き延びるのは仙人クラウドである、との思いを深める。
10人分の水と万力の重さの鉄瓶と工具を積んで、カーボンフレームにエアロスポークに21Cのタイヤのロードで走って見なされ(笑)。
『十人クラウドか千人クラウドか?』(爆)。この重量でダートを走っても石畳を走っても、ミシリとも言わない。四国周回で使った27号はまったく足元にも及ばない。
「はははははは。」水木先生の妖怪のように高笑いしたくなってくる。
湧水を巡った後、なべを使った珈琲の淹れ方をデモンストレーションした。味は好評。誰一人砂糖を欲しませんでした。濃くても砂糖なしですっきり飲めるのです。そのあとは鉄瓶で日本茶。こちらも好評。急須は備前、茶碗は古伊万里、茶托は五郎三郎の金箔ちらしの銅の茶托。お茶は京都の山奥のもの。煎茶道の方たちは鉄瓶を使いませんが、このお茶には鉄瓶のお湯が合うと私は思っている。
残念なことに、もはやこのあたりでそのまま飲める湧き水はありません。どこも宅地化で汚染が進んでいる。保健所の検査数値によると飲んではいけない。山の方へ行っても、奥多摩の方はゲンパツのブルームが引っ掛かった高濃度エリアになっている(10万~30万ベクレルを記録したところもある)。半分になるのに30年。4分の一になるのに60年。4分の一になってもまだまだ高すぎる。核種によっては万年の桁でダメ。大丈夫だという人は基本的科学理解が足りなり。こころならずもフランスより輸入のボルビックを使いました。
お菓子は備前の藩主池田公御用達だった饅頭。これは備前米から糀を発酵させ、もち米を足しながら、ある時に小麦粉を足して甘酒風の皮を熟成させる。これで白双糖でつくった最上等の餡子をくるむ。美味也。
コンビニで缶親分をプシュッとやっていては、この至福の時は味わえない。
夕暮れ時には大菩薩峠方面の連山が見え、富士山まで見えた。走り足りない私は、夕暮れのあと、実った田圃を見に、もうひと走りしたのでした。
自転車ステーションのもと教室の部屋のサイズを見て思った、「ああ、英国の家の部屋の大きさだ」。