工具というのは手の延長ですから、古い工具を見るのは楽しい。
その形状から、昔の人の技術レベルが現在よりはるかに高かったことなどもわかる。
現在ではパートでも作れる、、ということを設計段階で考えて噛み砕いてありますから、工具も専門工具でもわりにある意味「普通」のものが多い。
なんでも、この週末に引いたくじが「凶」だったので、すべてをキャンセルして寺社仏閣めぐりという御仁が現れた。
そういえば、蚤の市が今日はあったと思い出し、昼飯の後にちょっとその御仁と待ち合わせました。
ある出店に、廃業した自転車店から出た工具がころがっていた。
その人のところから、以前、別の市で万力を買ったことがある。仲間は被覆コード剥がしを買った。私の祖父が使っているのとまったく同じアメリカ製の被覆コード剥がしでした。確実に半世紀以上経っていた。それは仲間に薦めて、彼が買った。確実に60年は経っている。
そのかつてあった被覆コード剥がしもそうですが、工具というのは、『使い方を読み取らないといけないもの』だと思います。
その仲間は、被覆コード剥がしを見て、何の道具だかわからなかった。
「キミはどうやってダイナモからヘッドランプまでのコードの被覆を剥がしているのか?」
「まあカッターナイフを使ったり、ライターの火で被覆を剥がしたりしていますが。」
「これを使えば5秒で、中の金属線を一切傷めずに被覆がとれるぞ。」
帰ってから、面白くて、ひたすらコードの被覆を剥がしていた(笑)。
さて、今日の収穫は、
自転車用、ボックスレンチとスポークの飛び出た頭をカットする工具。
これは自分でホイール組をする人には絶対必要。これがないと、グラインダーとヤスリでそうとう手こずる。
フランスのVARなどにもありましたが、これは日本製。しかも鍛冶屋が手で打って作っている。これが1000円とはお値打ち。今作らせたら2万円ぐらいする。
もうひとつはボックスレンチ。3つまたソケット・レンチはいくらでもありますが、こういう「ねじれはしご」のレンチは古い。現代ではないと思う。私はこれが好きなのです。500円ほど。昔は、形がポパイのパイプのようなので、『ポパイ』と呼んでいる店主もけっこういた。今は聞いたことがない。たしかによく締まりそうな名前だ(笑)。そういう言葉も、「後輪」をかつては「ゴシャ」(後車)と言っていたのが廃れていったように、なくなってゆくのだろうと思う。そういえばリムベルトを「ふんどし」という人も少なくなってきた。昔は白いコットンで、バルブ口のところは薄いプレスのバックルが付いて、切れずに何回でも、何十年ももった。
歴史が見える露店市は楽しい。