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Channel: 英国式自転車生活
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作り手がのりうつる

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長年、物を作る仕事に携わってきて、思うところは、出来たものはそれを作った人の思考回路や生活、美意識の反映であるということです。

昔、私は家具などのほうもやっていたことがありますが、ある時、隣国へ作らせてみたことがあった。

まあ、安いし、手は込んでいるのですが、出来上がるものが違うのです。英国のボール&クローというのはグリッフィンの足なのですが、アジアでやる限りそれは竜かなんかの足になる。英国のモノと並べてもまったく同じにやっているんですが同じに見えない。

一方、英国の18世紀のホンモノは彫刻など無くてもやはり納得させるだけのものがあるのです。

自転車に於いても同じことがいえると思う。へチンズのラグは凝って見えますが、じつは機械式にドリルで穴をあけて、ドリルの穴を次々に開けてつないでいる。難しそうに見えますが、1台分1日で作れる。実際、英国のラグカッターに2セット頼んだとき、3日目には届きました。ベースになっているのは大して固い材料ではない。

冷静にデザインを見ると、ほとんど「偶発的な手の癖」で出来ているように見える。まさにそこが私などはこの手のゴシックラグに飽きた理由なのです。

写真はへチンズの「コノセンティ」の未使用品ですが、これも手放した。

一方、英国から建築材料のアンテイックを持ってくる時、サイズ合わせや修理を頼んでいたナイジェルを、或るミュージアムに連れて行き、サイズを計り、そこの椅子の「写し」を作ってもらったことがあります。それまで、そんなことを彼はやったことがなかったのですが、みごとに作り上げた。

しかもどう見ても、英国人以外が作ったとは見えない。

自転車も本来そういうもののはずだと思う。

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