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Channel: 英国式自転車生活
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知られざる古部品事情

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いまから20年以上前の、1970~1980年代の部品。新品で残っていたのが出てきたとして、みんなが気が付かないのが、

「なぜ売れ残っていたのか?」

ということ。じつは外観が新品でも、何らかの不具合があって、使われずに残っていた可能性があるのです。最近、いくつかそういうものに出くわしました。

ハブのスペーサーが抜かれて別の物が入っていて、チェンラインが出ないとか、中のベアリングの数が足りない。ネジ山がBSCでない国産ハブ。カンパのヘッド小物なのですが、すべてカンパの刻印があるのに回してみると違和感がある。調べてみると下ワンのフォーク側の部品が違う時代のものが入っている。

こういうのは、たぶん、補修に使ってしまって、そのまま棚にあったものを、当の本人が忘れていて、「ああ、オレは新品持っていたんだ」と売ってしまったに違いない。

そういうネタが「これを使ってください」と持ち込まれて、私が再発見することが少なくない。

これはフレーム小物でもそうで、リアのエンドが左右で、同じメーカーのものでも、ロットが違うのか、厚みとかが微妙に違う。「これで作っちゃっていいのかな?」と思うと、私は思考停止してしまう。

私の叔父が184cmぐらいの長身で、靴も大きかったのですが、或る法事の後、彼は私と最後まで残っていた。男はみんな黒い靴でしたから混乱したのでしょうが、最後に残っていた黒い革靴は25.5~26ぐらいだった。まあ、5~6人ぐらいが順繰りに間違えて、「これはちょっと緩いな」とか「ちょっとキツイな、飲みすぎたかな」と思いながらみんな帰ったに違いない。

結局、叔父は、「悪い冗談のようだ」とののしりつつ、はけないのでスリッパで帰った(笑)。

同じことは自転車部品でも起こる。このところ、玉突きの結果の、おかしな売れ残りがけっこう持ち込まれて困る。

英国の古い自転車が流行っていて、ハーデンのハブなどがもてはやされているようですが、ハーデンも、いま流通しているのはみんな怪しい。

ハーデンにはユニットベアリングが使われているのですが、オリジナルには金属製の「押さえ」が入っているのですが、これが1960~1970年ぐらいに世の中のモノが樹脂製の押さえになった。型番は同じなのです。

こうしたユニットベアリングは、通常は垂直荷重を想定しているので、これでもよかったのですが、自転車の場合は旋回時に斜め荷重がかかるので、これではもたない。

これは開けてみないとわからない。

そういう『ジョーカー』がずいぶん出回っているので、MOOK本などにあおられて古物に手を出すと火傷をします。

写真はSKFの樹脂製押さえが入ったユニット・ベアリング。これではペットボトルのフタの切り口みたいなもので、旋回時には乗員と自転車の重量がこの樹脂部品にかかるのですからたまりません。

右端は正しいスチールの横ずれ留め付のユニットベアリングが入ったハーデン。

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