こういうことはどこの雑誌にも本にも書いてありませんが、私は「自転車の変速機能には大きく分けて2種類の本質的な個性がある」と考えています。
私の世代の多くは、自転車を、リア4段から5段で乗り始めています。普段は真ん中で、乗り、これは実用車や軽快車よりちょっと速い。向かい風の時や登坂、悪路などではもう一枚か二枚、大きいギアへ変速し、追い風や下り坂、速度に乗った時はもう一枚か二枚、小さいギアへ入れる。
これで完結していた。
それが、山岳へ行くとなると、後ろのローだけでは登りでたいへんになる。そこで前へ小さいギアを付けて八段変速、もしくは十段変速にした。
重要なことは、ここまででは「他人のペースに合わせるために微妙に変速する」という考え方は入っていません。
つまり、常に一人か二人で走っている人には、自分で踏みやすいギア、自分で楽に上れるギアで、変速装置は完結していると言えるのです。
ところが、面白いことがありまして、たとえば自分がフロントのギアが二枚で、まわりが、たとえば四人がフロント三枚だと、自分一人が置いて行かれるというようなことが起こりうる。
自分が上り坂で、フロントがアウターでは登れなくて、インナーに落としたとする。それがやや軽すぎて、身体は楽だけれどスピードが遅くなると言う場合がある。その時、フロントに三枚を入れている人は、そこまで軽くせず、真ん中のギアで速度をあまり落とさないということがありえます。
あるいは、レースで集団の中に入って、微妙に毎分あたりの回転数を調整して、他人のペースの中でも自分のペースを守り、集団についていきたい場合がある。そういう時には変速段数が多く、微妙にピッチを変えるものが有利になる。
ところが、段数が多くなればデメリットも出てきます。タイヤを太くして、フロントに三段を入れるような場合、右側のチェンステーにギアが当たらないように大きくツブシを入れないといけない場合がある。
そうすると、右のチェンステーと左のチェンステーで大きく断面積が変わり、剛性が変わることになります。どういうことかというと、踏み込んだときに右のペダルと左のペダルで、踏み込んだ時のフレームの「にげ」具合が違ってくる。フレームに裏表ができるのです。
私はその乗り味が嫌いで、650Bではフロントトリプルを避けていた。
また、リアの段数が多くなってくると、レバーではどこに入っているのかわかりづらくなってくる。六段ぐらいがインデックスなしで楽に扱える限界だと思う。
私はもう、ますますマイペースになっているので、人についてゆくような走り方はしなくなっています。また、仲間との集団走行でも遅れる人が出ないように走る。
そういう風に考えると、私の場合、多い変速段数は必要ない。むしろわずらわしい。
引っ張るチェーンの力は乗り手が同じで、道路が同じで、ギア比が同じなら同じ。ただそれが、段数が多くなれば、ギアとチェンの接触面積は、ギアが薄くなった分減って、面圧が上がる。
それははっきりと足ざわりとして差が感じられる。
私はそれに1970年代はじめにはっきりと気が付きました。その当時、けっこう8段変速という、8分の一のチェンで、リア4段、フロント2段のスポーツ車が生き残っていました。
それに乗せてもらった。実にいいんです。滑らかに力がかかる。しかもチェンのねじれが少ないので、フロントの変速器の羽もあたりを逃がす必要がなかった。リア4段のどこにいれようとも、まったくフロントの羽を動かす必要がありませんでした。あれはよかった。
マイペースで走り、他人と競わない、一緒に走る時は「お互いに合わせる仲間と走る」という境地になると、じつに重厚な、良い乗り心地が手にはいるということは覚えていてよいと思う。
私の世代の多くは、自転車を、リア4段から5段で乗り始めています。普段は真ん中で、乗り、これは実用車や軽快車よりちょっと速い。向かい風の時や登坂、悪路などではもう一枚か二枚、大きいギアへ変速し、追い風や下り坂、速度に乗った時はもう一枚か二枚、小さいギアへ入れる。
これで完結していた。
それが、山岳へ行くとなると、後ろのローだけでは登りでたいへんになる。そこで前へ小さいギアを付けて八段変速、もしくは十段変速にした。
重要なことは、ここまででは「他人のペースに合わせるために微妙に変速する」という考え方は入っていません。
つまり、常に一人か二人で走っている人には、自分で踏みやすいギア、自分で楽に上れるギアで、変速装置は完結していると言えるのです。
ところが、面白いことがありまして、たとえば自分がフロントのギアが二枚で、まわりが、たとえば四人がフロント三枚だと、自分一人が置いて行かれるというようなことが起こりうる。
自分が上り坂で、フロントがアウターでは登れなくて、インナーに落としたとする。それがやや軽すぎて、身体は楽だけれどスピードが遅くなると言う場合がある。その時、フロントに三枚を入れている人は、そこまで軽くせず、真ん中のギアで速度をあまり落とさないということがありえます。
あるいは、レースで集団の中に入って、微妙に毎分あたりの回転数を調整して、他人のペースの中でも自分のペースを守り、集団についていきたい場合がある。そういう時には変速段数が多く、微妙にピッチを変えるものが有利になる。
ところが、段数が多くなればデメリットも出てきます。タイヤを太くして、フロントに三段を入れるような場合、右側のチェンステーにギアが当たらないように大きくツブシを入れないといけない場合がある。
そうすると、右のチェンステーと左のチェンステーで大きく断面積が変わり、剛性が変わることになります。どういうことかというと、踏み込んだときに右のペダルと左のペダルで、踏み込んだ時のフレームの「にげ」具合が違ってくる。フレームに裏表ができるのです。
私はその乗り味が嫌いで、650Bではフロントトリプルを避けていた。
また、リアの段数が多くなってくると、レバーではどこに入っているのかわかりづらくなってくる。六段ぐらいがインデックスなしで楽に扱える限界だと思う。
私はもう、ますますマイペースになっているので、人についてゆくような走り方はしなくなっています。また、仲間との集団走行でも遅れる人が出ないように走る。
そういう風に考えると、私の場合、多い変速段数は必要ない。むしろわずらわしい。
引っ張るチェーンの力は乗り手が同じで、道路が同じで、ギア比が同じなら同じ。ただそれが、段数が多くなれば、ギアとチェンの接触面積は、ギアが薄くなった分減って、面圧が上がる。
それははっきりと足ざわりとして差が感じられる。
私はそれに1970年代はじめにはっきりと気が付きました。その当時、けっこう8段変速という、8分の一のチェンで、リア4段、フロント2段のスポーツ車が生き残っていました。
それに乗せてもらった。実にいいんです。滑らかに力がかかる。しかもチェンのねじれが少ないので、フロントの変速器の羽もあたりを逃がす必要がなかった。リア4段のどこにいれようとも、まったくフロントの羽を動かす必要がありませんでした。あれはよかった。
マイペースで走り、他人と競わない、一緒に走る時は「お互いに合わせる仲間と走る」という境地になると、じつに重厚な、良い乗り心地が手にはいるということは覚えていてよいと思う。